二人暮らし

春夏

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2. 倫27歳 真希15歳

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フラワーショップ秋山は4階建てのビルの1階にある。2階と3階は1LDKのアパートが2部屋ずつ、4階が秋山家の住居だ。駅から5分の好立地とあって入居者が途切れたことはない。ワンルームにすればもう少し部屋数を増やすこともできたのだが、大学生などに騒がれるのも煩わしい、と単身社会人向けの広さを選んだ父は慧眼であった。ゴミの日などもきちんと守ってくれる入居者たちは管理人としてもありがたい。

広いベランダがついた4階はもともと4人家族だったこともあり真希の暮らすスペースは充分あった。祖父母が使っていた部屋を片付けて真希の部屋を確保した倫だが、さほどの荷物は無かったので引っ越しは簡単に済んだ。せめてこれくらいはさせてくれ、と母の夫が新しいベッドを買ってくれて倫と真希の二人暮らしが始まった。

「どう?似合う?」「俺ン時は学ランやったけどな。今はブレザーなんやなぁ」制服が間に合わず、倫が常連さんから譲ってもらったお下がりの制服は「背が伸びちゃって買い直したのよ」と言うだけあって傷みも少なかった。「マサもキツなるくらい大きくなるんやで」「抜かしちゃうかもよ?」この子が大人になったらここから出ていくのだ、その時は笑って送り出してやらな。倫は始まったばかりの二人の暮らしが終わる日が来ることを知っている。
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