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18話、嵐は去り、静けさの時間
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マリアの【視聴者】は、俺の【読者】の強化版だと言っていい。
常時発動で、範囲内全ての思考を盗み聞く事ができる。
【裏路地のリーダー】の秘密はそれで、俺がマリアを【視る】事によってマリアが【聴いた】内容を自分の情報に置き換えていた。
簡単に言えば、周りの人間が、殴るよーと言ってから殴ってくるようなもんだ。
さらに俺の【読者】は共感の能力なので、マリアが思えば人とは思えないような行動を取れる。
【視聴者】の範囲は自分で広げることも縮めることも出来る。デメリットとしては範囲内全ての、それこそ人間以外の思考も読み取ってしまうため、俺なんかだと10分そこらはその雑音に集中出来ず、注意力が散漫してしまう。
スワコの【隠者】もおそらく自分だけではなく周りも含めた範囲能力なのだろう。
スワコにそんな能力があるだなんて、全く気づかなかった。
「しかし、急にあいつら逃げて行くと思ったら、裏でそんな事があったんだな。気づかなかったさー」
「範囲内のカメラが機能しないってのはつまり、学校の防犯カメラも機能していないって事だからな。スワコの【隠者】が人間に対してのみ作用するならカメラをどうにかしなければならない。まさに今が絶好のチャンスだったわけだ」
やれやれだぜ、と俺は肩をすくめる。
リョウタの救出に成功した俺は、リョウタと共に生徒会室に戻る。そこには泣きじゃくるミクが1人、座り込んでいた。
そのまま生徒会室の中に2人を招き入れ、鍵をする。
不審者がまだいるかもしれないから学校から出ないように、と校内放送。
侵入を許している時点で、全く意味がない。
「わかった。鳥手、協力するさー!」
「ん?」
「私も力になれないけど協力するよ!会長を助けなきゃ!」
「バカ言ってんじゃねぇぞお前ら」
俺は一蹴する。
「どう考えてもマリアの自業自得だろうが。助けるって頭どうかしてんじゃねぇのか?第一ヤクザが出てきてんなら警察の仕事だろうが。俺やお前たちに何ができる」
今となって思えば、そうだ。
タカシとスワコは【裏路地のリーダー】を俺だと決め打ちしていた。
もう少し警戒をするに越したことはなかっただろうに。
「俺はいかねぇぜ。それより俺はリョウタを病院に連れて行く」
「大丈夫さー、俺様は無傷だから」
「やせ我慢にもほどがある。腕折れてんだろうが」
「腕なんか使わなければいいさー。【裏路地のリーダー】に蹴られたことを思い返せば、こんなの何でもない」
「ジョージくん、助けに行かないの?」
「そもそもお前ら何か勘違いしてるけどな。マリアが感知できない程度で捕まると思ってんのか?」
「え?」
「んなわけねぇだろ。対策と予測、あいつは生徒会長だぜ?あいつが捕まったのは、リョウタを助けるために俺が出て行ったから、これ以上リョウタに危害が加わらないようにわざと隙だらけだったんだぞ。特にリョウタは何を偉そうに言ってんだ。お前のために捕まったんだよ」
「ん……すまん」
「まぁいいじゃねぇか。俺は幼馴染と、可愛い彼女が助かってるだけで満足だぞ。欲張りすぎは良くない。わかったら帰るぞ。タクシー呼んでやるからリョウタは病院だ。ミクも乗ってくか?」
「っ……、えと」
バチが当たったなマリア。
お前は昔も今も、囚われの姫役がお似合いだぜ
常時発動で、範囲内全ての思考を盗み聞く事ができる。
【裏路地のリーダー】の秘密はそれで、俺がマリアを【視る】事によってマリアが【聴いた】内容を自分の情報に置き換えていた。
簡単に言えば、周りの人間が、殴るよーと言ってから殴ってくるようなもんだ。
さらに俺の【読者】は共感の能力なので、マリアが思えば人とは思えないような行動を取れる。
【視聴者】の範囲は自分で広げることも縮めることも出来る。デメリットとしては範囲内全ての、それこそ人間以外の思考も読み取ってしまうため、俺なんかだと10分そこらはその雑音に集中出来ず、注意力が散漫してしまう。
スワコの【隠者】もおそらく自分だけではなく周りも含めた範囲能力なのだろう。
スワコにそんな能力があるだなんて、全く気づかなかった。
「しかし、急にあいつら逃げて行くと思ったら、裏でそんな事があったんだな。気づかなかったさー」
「範囲内のカメラが機能しないってのはつまり、学校の防犯カメラも機能していないって事だからな。スワコの【隠者】が人間に対してのみ作用するならカメラをどうにかしなければならない。まさに今が絶好のチャンスだったわけだ」
やれやれだぜ、と俺は肩をすくめる。
リョウタの救出に成功した俺は、リョウタと共に生徒会室に戻る。そこには泣きじゃくるミクが1人、座り込んでいた。
そのまま生徒会室の中に2人を招き入れ、鍵をする。
不審者がまだいるかもしれないから学校から出ないように、と校内放送。
侵入を許している時点で、全く意味がない。
「わかった。鳥手、協力するさー!」
「ん?」
「私も力になれないけど協力するよ!会長を助けなきゃ!」
「バカ言ってんじゃねぇぞお前ら」
俺は一蹴する。
「どう考えてもマリアの自業自得だろうが。助けるって頭どうかしてんじゃねぇのか?第一ヤクザが出てきてんなら警察の仕事だろうが。俺やお前たちに何ができる」
今となって思えば、そうだ。
タカシとスワコは【裏路地のリーダー】を俺だと決め打ちしていた。
もう少し警戒をするに越したことはなかっただろうに。
「俺はいかねぇぜ。それより俺はリョウタを病院に連れて行く」
「大丈夫さー、俺様は無傷だから」
「やせ我慢にもほどがある。腕折れてんだろうが」
「腕なんか使わなければいいさー。【裏路地のリーダー】に蹴られたことを思い返せば、こんなの何でもない」
「ジョージくん、助けに行かないの?」
「そもそもお前ら何か勘違いしてるけどな。マリアが感知できない程度で捕まると思ってんのか?」
「え?」
「んなわけねぇだろ。対策と予測、あいつは生徒会長だぜ?あいつが捕まったのは、リョウタを助けるために俺が出て行ったから、これ以上リョウタに危害が加わらないようにわざと隙だらけだったんだぞ。特にリョウタは何を偉そうに言ってんだ。お前のために捕まったんだよ」
「ん……すまん」
「まぁいいじゃねぇか。俺は幼馴染と、可愛い彼女が助かってるだけで満足だぞ。欲張りすぎは良くない。わかったら帰るぞ。タクシー呼んでやるからリョウタは病院だ。ミクも乗ってくか?」
「っ……、えと」
バチが当たったなマリア。
お前は昔も今も、囚われの姫役がお似合いだぜ
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