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第7話、ぐうたらプリンセス
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身長178cm、体重63Kg。
鳥手の家にいるときは基本的に裸か下着なズボラさが特徴。よくて大人用にアレンジされた子供服くらいだ。
鳥手の姉、つまり私はいわゆるツンデレである。
テンプレにもなっているツンデレではなく、もっと古来の、いわゆる表裏を持つツンデレだ。
家の外ではしっかり者、家でもしっかり者を演じる私は、弟の鳥手が一人暮らしするアパートでだけは素をさらけ出し、過度に甘えている。
世の中は辛い。
辛い世の中、私の取手への依存はあまりにも高い。
取手の方も、私にもっと依存してくれれば良いのに。
「あんたをツンデレと呼んでいいのかで言ったら100%違うと思うぞ姉貴よ」
「むー、とりではあねにはんこうてきなおとうとだなー」
なんやかんやで鳥手がリョウタとのおしゃべりを楽しむこと数時間。
学校が終わった私を迎え、鳥手の手作りの夜ご飯を食べ、彼の腕の中であやされながら私は言う。
「わたしがつんでれといったらつんでれなのよー」
「あんたのはなんつーか、キレデレって感じだな」
「でれでれー」
世の中は辛い。
学校でも家でもいい子でいるために、私は弟の鳥手の家でだけは彼にベタベタ甘える。
おしゃぶりまでつけている。
「とりでのまえだけだよー、わたしがここまでぐーたらべたべたなのはー」
「あんま嬉しくねぇよ」
「ほらー、あねとあかちゃんぷれいだぞーよろこべー」
「そんな趣味ないから」
「うれしいくせにー」
私達の両親は離婚している。
私と鳥手が誘拐され、リョウタの言う【奇跡の体現者】になった事件ではあるが、その件から私はすっかり弟にべったり。
私はブラコンである。
この家を出れば、そんな素振りは全く見せないけれど。
「そいやさ、その【奇跡の体現者】の件だが」
「ふたりきりなのよー、そんなはなしはしないでー」
「リョウタは気付きかけてたぞ【裏路地のリーダー】の仕組み」
「ほとんどまちがってたじゃないのー」
「時間の問題だぞ、どうすんだよ」
「えー?」
「どうせ【裏路地のリーダー】の噂って、姉貴が元だろ?」
「そだねー」
そだねーじゃねーんだよ。鳥手はプンスカしている。
はぁ、なんで両親は離婚したんだろうか。
私も鳥手って名前のままが良かったな。
「俺の【リーダー】は繊細なんだ。【裏路地のリーダー】と混同されたら迷惑だ」
「おこらないのー。ほらーおっぱいさわらせてあげるからさー」
「お前おっぱいないだろうが」
「せいぎのてっついー」
女心のわからない鳥手にデコピンをする。
どうせ私はブラもいらないブラコン女ですよ。
「そりゃあ仕組みや【リーダー】の秘密がバレようが【裏路地のリーダー】の正体にはたどり着けないだろうけどさ、少なくとも【奇跡の体現者】なんつー固有名詞がつくくらいには俺たちみたいな奴がいる。【リーダー】みたいなのだって例外じゃないんだよ」
「しってるよー」
知っている。
知っているし、知られている。
「りょうたがりょうたがっていうけどさー、もっとみじかにやばいのいるでしょー」
「やばい奴?タカシか?」
「すわこだよー」
いやタカシも大概だけどさ。
「たかしのやばさは、わたしたちにかんけいのないやばさだよー。すわこには、いちどみられてる」
「はぁ!?見られてるって、【裏路地のリーダー】をか!?」
「んにゃ、わたしたちのぷりくら」
「……」
「……」
「……いや、いやいや。お前なんだそんなことかよって言葉を飲み込んで反芻してみた。一周回ってやばいなそれ」
「でしょー。きょうねー、すまほでふるいやつみてたらねーみられちゃってー」
「完全にお前の不注意じゃねぇか!!」
そもそも、鳥手と私の姉弟関係自体公表してない。
なんなら仲が悪い風に装ってる節もある。
でも、仕方なかったのよ。
「だから、こんごはきをつけてねー、すわこのことー」
鳥手の家にいるときは基本的に裸か下着なズボラさが特徴。よくて大人用にアレンジされた子供服くらいだ。
鳥手の姉、つまり私はいわゆるツンデレである。
テンプレにもなっているツンデレではなく、もっと古来の、いわゆる表裏を持つツンデレだ。
家の外ではしっかり者、家でもしっかり者を演じる私は、弟の鳥手が一人暮らしするアパートでだけは素をさらけ出し、過度に甘えている。
世の中は辛い。
辛い世の中、私の取手への依存はあまりにも高い。
取手の方も、私にもっと依存してくれれば良いのに。
「あんたをツンデレと呼んでいいのかで言ったら100%違うと思うぞ姉貴よ」
「むー、とりではあねにはんこうてきなおとうとだなー」
なんやかんやで鳥手がリョウタとのおしゃべりを楽しむこと数時間。
学校が終わった私を迎え、鳥手の手作りの夜ご飯を食べ、彼の腕の中であやされながら私は言う。
「わたしがつんでれといったらつんでれなのよー」
「あんたのはなんつーか、キレデレって感じだな」
「でれでれー」
世の中は辛い。
学校でも家でもいい子でいるために、私は弟の鳥手の家でだけは彼にベタベタ甘える。
おしゃぶりまでつけている。
「とりでのまえだけだよー、わたしがここまでぐーたらべたべたなのはー」
「あんま嬉しくねぇよ」
「ほらー、あねとあかちゃんぷれいだぞーよろこべー」
「そんな趣味ないから」
「うれしいくせにー」
私達の両親は離婚している。
私と鳥手が誘拐され、リョウタの言う【奇跡の体現者】になった事件ではあるが、その件から私はすっかり弟にべったり。
私はブラコンである。
この家を出れば、そんな素振りは全く見せないけれど。
「そいやさ、その【奇跡の体現者】の件だが」
「ふたりきりなのよー、そんなはなしはしないでー」
「リョウタは気付きかけてたぞ【裏路地のリーダー】の仕組み」
「ほとんどまちがってたじゃないのー」
「時間の問題だぞ、どうすんだよ」
「えー?」
「どうせ【裏路地のリーダー】の噂って、姉貴が元だろ?」
「そだねー」
そだねーじゃねーんだよ。鳥手はプンスカしている。
はぁ、なんで両親は離婚したんだろうか。
私も鳥手って名前のままが良かったな。
「俺の【リーダー】は繊細なんだ。【裏路地のリーダー】と混同されたら迷惑だ」
「おこらないのー。ほらーおっぱいさわらせてあげるからさー」
「お前おっぱいないだろうが」
「せいぎのてっついー」
女心のわからない鳥手にデコピンをする。
どうせ私はブラもいらないブラコン女ですよ。
「そりゃあ仕組みや【リーダー】の秘密がバレようが【裏路地のリーダー】の正体にはたどり着けないだろうけどさ、少なくとも【奇跡の体現者】なんつー固有名詞がつくくらいには俺たちみたいな奴がいる。【リーダー】みたいなのだって例外じゃないんだよ」
「しってるよー」
知っている。
知っているし、知られている。
「りょうたがりょうたがっていうけどさー、もっとみじかにやばいのいるでしょー」
「やばい奴?タカシか?」
「すわこだよー」
いやタカシも大概だけどさ。
「たかしのやばさは、わたしたちにかんけいのないやばさだよー。すわこには、いちどみられてる」
「はぁ!?見られてるって、【裏路地のリーダー】をか!?」
「んにゃ、わたしたちのぷりくら」
「……」
「……」
「……いや、いやいや。お前なんだそんなことかよって言葉を飲み込んで反芻してみた。一周回ってやばいなそれ」
「でしょー。きょうねー、すまほでふるいやつみてたらねーみられちゃってー」
「完全にお前の不注意じゃねぇか!!」
そもそも、鳥手と私の姉弟関係自体公表してない。
なんなら仲が悪い風に装ってる節もある。
でも、仕方なかったのよ。
「だから、こんごはきをつけてねー、すわこのことー」
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