確かに俺は文官だが

パチェル

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第2章

暗躍するのはそこそこ得意8

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 水を流す音がした。

 その後、けほけほとせき込む声も聞こえた。風邪だろうか。


 そう急かさないでほしいと思った男は、油断しているところを押し入ることに決めた。
 何故なら、その方が楽しい。
 個室でイチャイチャして気絶でもさせたところを連れ去ろう。


 ガチャリと扉が開く。残念ながら目深にかぶったフードからは少年の顔が見えない。

 背が低いからだ。もうこれ以上成長なんてしてほしくない、ちょうどいいかわいらしさだ。
 それが愛らしさの理由の一つでもあるのだ。このままで居させるためには、少し、色々我慢させて、育てたほうがいいだろう。

 何にも抵抗できない体がこんなにもおいしいと君は知っているのかな。



 黒い髪の毛がフードからちらりと見えた。それだけで興奮する。

 だから顔を見る前にその体を男の体で押し付けて、そのまま個室へと押しやった。少年の脚がたたらを踏んで個室へと戻っていく。

 興奮したまま体を顔に押し付けると苦しいのか声も出せないようだった。
 やがて便器にぶつかり、足を引っかけると腰かけるように座った。


 さぁ、早くその瞳を見せろ。

 男はフードを脱がすために少し震える手を伸ばした。





 しかし、そのフードに手をかける前に少年が口を開いた。

「イテテテ、あれれ、おにいさん。そんなにトイレ、急いでいたの?」

 怖がって声も出ないであろうと思われた少年から何の恐怖もない声で問われる。
 少し掠れている。やっぱり風邪なんかひいて。男のもとに来たならば、病気なんかにかからないように、全身すべて管理してやろうと笑う。

 まさか、気付いていないのだろうか。己のピンチを? そう言えば本を取ってあげた時も何の疑いもなくありがとうなどと言っていたことを思い出し男はにやりとほくそ笑んだ。
 あぁ、かわいい……。


「そうなんだ。君が入っていたのに、慌てちゃったな」
「そう。僕、もう出るからどうぞ?」

 少年の表情はフードの下で隠れていて伺えないが、出ていってもらっては困るんだ。
 男は便器の蓋の上に座り込んだ少年が動けないようにさらに体を密着させた。

「あの、そこに立っていられると、トイレから出られないん……」
「ねぇ、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど」

「え、っと、何でしょうか」
「お兄さん、少し辛いことがあるんだ。楽になりたくて手伝ってくれないかな?」
「うん? ぼく、にできる、ことなら……いいですよ」
「じゃあ、さっそくこれ、なでなでしてくれる?」

 男は自分の欲望を感じて起き上がりつつあるものをズボンから取り出した。
 少年が小さく息をのんだ。


「この間、本を取ってあげたから、お礼ってことでいいんだよ」
「え、この間って?」
「覚えてないかな? ほら」


 ここで騒がれないように男は少年に思い出させることにした。二人の出会いを。

「僕が本を取ってあげただけなのに、君がやめてなんていうからお兄さん慌てちゃって。君が痛い思いすることになったんだよ? まさか忘れていないよね? 思い出したい?」
「え? え? え?」
「ほら、そのお手々でこれ触って、ごらん? 触るだけでいいんだよ?」
「……触るだけで許してくれるってこと?」

 少年の声は怖がっているのかか細い声で尋ねてくる。君に嘘はつけないなぁ。


「さぁ、どうかな、満足できなかったら、次はその口で」
「く、くち?」
「そうだよ。はやくしてくれ、たまらない」

 少年は手をそろそろと伸ばし始め、ローブの裾から指先がちらりと見えた。

「これ触ったら、家に帰れる?」
「はぁー。帰れるよ。だから、ヒカリくん」

 僕たちの家に。と声に出さず付け加える。少年の手がぴたりと止まる。

「ねぇ、どうして僕の名前知ってるの?」

「フフフ、怖い? あのね。お兄さんのいう事は聞いたほうがいいよ。お兄さんね、子どもを売る仕事をしているんだ。いろんな国から仕入れて、いろんな人に売る。みんな最初は泣くんだ。帰して帰してって。でもね、君たちが欲しいと言う人は多くてね。お兄さんも仕方なく売るしかないんだ。だから、お兄さんは君たちに勉強させてあげてから売るんだ。優しいだろう? 嫌なおじさんのところで痛い思いをしても、気持ちいい、もっともっとって言えるように。時にはそんなものいらないって言う人もいるけどね。死ぬまで気持ちいなんていい人生だろう。もちろんヒカリくんは、私が一から全部教えてあげるし、死ぬまで気持ちよくさせてあげるよ。でも私は言う事を聞かない子にはちゃんとお仕置きをするぞ。それが嫌だったらさっさと始めようか?」

 怖がらせすぎたのか少年は左手を横の壁の何もない空間に伸ばし、ローブから見える指先が小さく震えていた。

 それだけで男の取り出したモノがピクピクンと反応し、鎌首をもたげる。先から分泌液も出てきてしまっている。

「まて。まだ」
「何がまだなんだ? もったいぶるんじゃない」

 ためらう少年の見えている指先をグイッと掴み引っ張るとバランスを崩して倒れこんでくる。
 男はトイレの壁によりかかる体勢に、少年は両ひざをしたたかにぶつけたようだった。

「ひぃっ、い、いたぁい。久しぶりの痛覚の活躍……」
「ほら、もっと痛いことするよ。お兄さんはね、泣いてる顔も好きなんだ」



 男はフードに手をかけた。

 と同時に少年の顔が上を向くそぶりを見せた。パサリとフードが落ちる。



 そこから現れた瞳は男を驚かせた。






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