愚者と聖女と姫巫女

Szak

文字の大きさ
上 下
7 / 29

シルヴィアとスコットの出会い

しおりを挟む
 シルヴィアがスコットと出会ったのは、まだ幼い頃のことである。シルヴィアがシルヴィーと出かけた時に男たちに絡まれてるのを助けてくれたのが若き日のスコットだった。彼は剣術や体術に長けており、シルヴィーたちに絡んでいた男どもをあっという間に倒してしまったのだった。シルヴィーはシルヴィアを庇うように立ち身も知らぬ少年のような男に警戒していた。

 「シルヴィア、油断してはダメよ!あの人がに私たちを救いに来たとは限らないのだから!」

 「シルヴィー姉様、悪い人を倒してくれたのに出来ないということは無いのでなくて?」

 「そうね、もし、これが私たちを騙すための茶番だとしたら信用してはいけないと思いなさい!」

 「シルヴィー姉様、茶番とは何ですか?」

 「茶番というのはね人を信用させるためにお芝居をすることのことよ!強い相手と共謀していかにも倒しましたという風に見せて実は悪人でしたなんてことを言うの!」

 戦ってた男は、なんでそんなに信用されないんだろうと思いながら襲ってくる相手に掌底を入れては相手の方に向けて蹴り飛ばしている。

 (なんなんだよ、このお嬢様方は俺のことまったく信用してないとか、どんだけ警戒心が強いんだよ!)

 「いいシルヴィア、いくら相手がかっこよくても容姿端麗であっても警戒心を解いたらダメよ!私たちは常に誰かに狙われているという事を自覚しておきなさい!」

 「ですが、お姉様助けていただいて、そのままというのも外聞が悪くないですか?」

 シルヴィアは、姉の言いたいことも理解は出来るのだが、だからと言って何もせずに立ち去るのも外聞が悪いと姉にいうのだが姉であるシルヴィーは罠かも知れないからと警戒を緩めてはいけないと強くシルヴィアに言い聞かせていると片が付いたのか少年らしき男が自分たちに近寄って来るのをシルヴィーは気付いていた。

 「もう、怯えることは無いから少し話が出来ないかな?」

 「・・・・・」

 「何者です?あなたの目的は私たちを攫う事ですか?」

 「いや、そんなつもりは無いんだが、名乗ることは出来ないんだよ!」

 「名乗ることも出来ない殿方をどう信用しろというのですか?私たちはあなたのことを何も知らないというのに警戒しない方がおかしくありません?」

 少年のような男はある立場上名乗ることを禁止されており、仮名すら名乗れない状態でどう信用してもらうか考えるのだが、シルヴィーの言う通り名乗りもしない者を誰も信用するわけも無いし警戒されてあたり前だと少年のような男は思った。

 「シルヴィーお姉様、このままでは話も何も出来ませんので、とりあえず信用したフリをしておけば良いのではないでしょうか?」

 「そうね、シルヴィアの言う通りだわ!なにかされそうになったら処分すればいいだけだものね!」

 「何か、今すごく物騒な話が聞こえて来たんだが大丈夫なんだろうな?」

 「それはどうかしらね?あなたが何もしなければ生きていられるんじゃないかしら!」

 「俺は何もしないから安心しろ!それから罠も張ってないからもう少し警戒心を解いてくれないか?」

 「無理よ!私たちは常に狙われている者なんだから、誰であろうと警戒心を解くつもりは無いわ!それにあなたが何もしなくても他の誰かが何かをしたり罠を作っていたりすれば同じでしょ!」

 少年のような男はシルヴィーに言われたことは尤もだと理解するも自分が信用されない事には話が出来ないと困った表情をしていると彼女たちから1つの提案がされるのだった。その提案とは、とりあえず安全なところに場所を変えないかというものだった。

 「ここでいくら話していても埒が明かないので、どこか安全なところで話しませんか?このままでは、いつ狙われてもおかしくないので!」

 「そうね、シルヴィアの言う通りだわ。あなたは信用していないけど狙われやすい所に居る道理もないものね!」

 「それで、どこに移動すればいい?」

 「ここだと、神殿か宮殿かしら?この国にあればの話だけどね!」

 「おいおい、神殿か宮殿だって!あるにはあるが王族しか使用が許されていない所だぞ!」

 「この辺りだと、宮殿が近くあったのではなくて?まあ、入れるか否かは行けばわかることよ!」

 少年のような男の言葉を無視したかのように宮殿の方に向かって歩き出す彼女たちを見て少年のような男は頭を抱えながら歩き出すのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

王太子殿下はきっと私を愛していない。

haruno
恋愛
王太子殿下の婚約者に選ばれた私。 しかし殿下は噂とは程遠い厳しい人で、私に仕事を押し付けてくる。 それでも諦めずに努力をするも、殿下の秘書が私を妬んでいるようで……

拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】 僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。 ※他サイトでも投稿中

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載中しております。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

偶像(アイドル)と恋愛

Szak
恋愛
 アイドルとして活動する少女とそれを見守るある青年の心情を描いた恋愛ストーリー  蒼井芸能プロダクションに勤める青年はとある個人事務所のアイドルに心を奪わていたのだが、この少女には少し変わったところがあり、見ていて危ないと思うようになる。ところが、この個人事務所と蒼井芸能プロダクションは敵対関係あり主だって応援することも協力することも出来ない中で少女に対する思いが募り始める。

身代わりとなります

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
レイチェルは素行不良の令嬢として悪名を轟かせている。しかし、それはレイチェルが無知ゆえにいつも失態をしていたためで本人には悪意はなかった。 レイチェルは家族に顧みられず誰からも貴族のルールを教えてもらわずに育ったのだ。 そんなレイチェルに婚約者ができた。 侯爵令息のダニエルだ。 彼は誠実でレイチェルの置かれている状況を知り、マナー講師を招いたり、ドレスを作ってくれたりした。 はじめは貴族然としている婚約者に反発していたレイチェルだったがいつのまにか彼の優しさに惹かれるようになった。 彼のレイチェルへの想いが同情であっても。 彼がレイチェルではない人を愛していても。 そんな時、彼の想い人である隣国の伯爵令嬢フィオラの国で革命が起き、彼女は隣国の貴族として処刑されることが決まった。 そして、さまざまな思惑が交錯する中、レイチェルは一つの決断を下し・・・ *過去と未来が行ったり来たりしながら進行する書き方にチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんがご了承ください。

処理中です...