愚者と聖女と姫巫女

姫巫女の秘密と暗躍

　姫巫女について多く語られていない理由は姫巫女が特殊な存在であり、その力ゆえに悪用しようと考える輩もいるため存在は秘匿され一部の人間に口伝でのみ知らされている。問題の執事の家系も姫巫女のことを伝えられている一族なのだが、少し間違った形で伝わっており本来してはならないことをしていいとされてしまっている。

　（ブライアン卿からの紹介で来た執事は、たぶん勘違いしているんでしょうね？一部では間違って伝わってると当主から聞いたことはあるのだけど、実際に勘違いしてる人を見るのは初めてだわ！）

　「お母様、なにを難しい顔をされてるのですか？」

　「伯母様、御加減が悪いのですか？」

　「セルヴィア大丈夫よ、少し考え事をしてただけだから心配しないで！」

　「それで、お母様は何をお考えになっていたのですか？」

　「あなた達の今後について考えていただけよ、心配するようなことは何もないわ！」

　シルヴィーは娘たちの事に付いて悩んでいた。なぜかというとシルヴィアとアーノルド・ブライアンとの間に男児が産まれてしまいアーノルドと別れさす事が出来なくなってしまったからである。

　シルヴィアはスッコトが亡くなってからしばらくは喪に服すつもりで居たのだが、アーノルド・ブライアンはお構いなしに、俺と結婚しろと迫っており、この時シルヴィアは誰とも結婚する気はないとアーノルドにはっきり断りを入れているのだが、アーノルドは諦めきれずシルヴィアにおまえが俺と結婚しなければ姉のシルヴィーがどうなっても知らんぞ！と脅して来たのである。シルヴィアがアーノルドに出した条件が今から１年間あなたが私たち姉妹に何もすることなく喪に服させてくれたなら考えましょうというものだった。

　（スコットがあんな事にならなければ今頃姉妹で仲良く暮らせたものなのに何であんな事になったのかしらね？）

　「伯母様？」

　「セルヴィア、伯母様と呼ばれるあまり好きじゃないから名前で呼んでくれないかしら？」

　「なまえ？」

　「そうよ名前、あなたのお母さんとは１字違いなだけだけどね！私の名前はシルヴィーっていうのよ。」

　「シ、シルヴィーおばさま？」

　「なあ。セルヴィアよ、伯母様は付けなくて良いのじゃ！シルヴィーと呼ぶだけでな。」

　「でも、伯母様は伯母様でしょ？お母様の姉っていうし・・・」

　「セルヴィア、あなたわざと言ってるわよね？」

　「わかりました、シルヴィーさん！」

　「セルヴィア、あなたいい性格してるわ！」

　シルヴィーに言われて、そんなことないですよとセルヴィアは言うのだが眼は笑っていない。セルヴィーはそんなセルヴィアを見て私、あの娘と上手くやって行けるかしらと思うのだった。

　「お母様、何か私たちにお話があるとかで、ここに呼ばれたはずですが早く本題に入ってもらたいのですが？」

　「確かにセルヴィーの言う通り、あなた達に伝えなければいけない事はあるわ！でもね、これを本当にいま伝えるべきか悩んでいるのよ！あなた達の人生に関わる話だから出来るだけ慎重に判断したいのよ！」

　「セルヴィーは伯母様が何の話をされようとしているかわかるかしら？」

　「セルヴィア、あなた今しがたお母様に伯母様と呼ばないようにと注意されたばかりでしょ？それに私がお母様が何を思い詰めているかなんて見当もつかないのわかってて聞いてるでしょ！」

　「私は、セルヴィーなら何か知ってると思って聞いてみただけであなたのお母様が何を思い詰めてるかなんて聞いてないわ！」

　はぁ～～と大きなため息を吐いてからシルヴィーはセルヴィアのことだから今から話す内容に心当たりがあるんでしょうね？シルヴィアがあなたを私に預けた理由も検討付いてるのではなくて！とシルヴィーがいうとセルヴィアは私は産まれてすぐこちらに預けられてるんですよ？わかるわけないじゃないですか！と答えた。