私はただ一度の暴言が許せない

ちくわぶ(まるどらむぎ)

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07 アドバイス

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スカーレットはステップにかけた足を戻し、
身体の向きをかえ、ネイトの方へ歩き出した。

スカーレット付きの執事の青年と侍女は黙ってそれを見ている。

スカーレットはネイトのすぐ前まで行くと
ネイトの顔を覗き込んだ。


「―――ネイト。貴方、いくつ?」

「は?」

ネイトがぽかんとした顔をすると
スカーレットはまたくすりと笑った。

「私を煽って怒らせ、《あの人》のところへ抗議に行かせようとした?
話をさせるために。
それとも、単に私に腹が立って言っただけ?
どっちにしろ、それじゃ全く駄目よ。―――若いわね」

「―――――」

何を言われたのかわからなかった。
スカーレットの執事と侍女が同時にぷっと小さくふきだしたのが見えた。

ネイトは急に腹が立った。

《若いわね》だと?

確かに同じ執事でもスカーレットの執事の青年よりは自分の方が若いだろう。

だが、ネイトはマティアスよりひとつ年下。
スカーレットはマティアスより3つ下だ。

つまり自分より年下のスカーレットに、《若い》と言われる筋合いはない。

そんな胸のうちが顔に出た。
スカーレットはネイトの顔を見て苦笑した。


「本当に駄目ね。貴方、執事でしょう?
怒るなとは言わない。けれど平静を装うくらいしなさいよ。
―――そして。
憶測でものを言わないことね。調べるくらいできるでしょう。
本当のことで勝負しなさい。
そうでなければ執事は務まらないわよ?」


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