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「昨日、シャノン様が屋敷を出て行かれました」
ルカスは家令の言葉に固まった。
王宮の、王太子殿下の執務室だ。
いつものように王太子殿下と仕事をしていたところだった。
そこに話があると屋敷の家令がやってきた。
しかし主人であるルカスは仕事中だ。
普通ならば家令は誰かに伝言を託し、帰る。
だが今日、家令はそうしなかった。
長時間、ルカスの手が空くまで待つと言って帰らずにいたのだ。
家令が何か重要な知らせを持ってきたのだと察するのには十分だった。
それも直接、主人である自分に言わなければならない知らせ。
良い事だとは思えなかったので身構えてはいた。
だから想像は当たっていたと言える。
だが
それは考えもしなかった最悪なもので。
強く頭を殴られた気がして、ルカスはよろめいた。
「……何と言った?」
ルカスはごくりと唾を呑み込んだ。
「今……シャノンが……。
妻が、昨日……家を出て行ったと……?そう言ったのか……?」
ルカスが恐る恐る聞けば、家令は小さく礼をしてけろりと答えた。
「はい、旦那様。その通りでございます」
ルカスは殴りかからんばかりの勢いで家令に詰め寄った。
「何故だ!どうしてシャノンが?
アーネスト!お前は何をしていたっ!どうして止めなかった?!」
「はい?……何故、お止めしなければならないのです?」
「なんだと?!」
「シャノン様は三ヶ月、ただ屋敷に居た《だけ》ではないですか。
《女主人》としての務めも、夫人としての《社交》も何もなさっていません。
おられなくとも、なんの支障もございません。
出て行く、と言うのをお止めしなければならない理由がどこにあるのですか?」
ルカスは息を呑んだ。
家令の態度は、ルカスには信じられないものだった。
何故、冷静にそんなことが言えるのか。
「何を……言っている?シャノンは私の妻だぞ?
それに、家令であるお前は知っているだろう!
シャノンが何もしなかったのは、私が彼女に《しなくて良い》と言ったからだ!
成人して、すぐに格上の我が家へ嫁いできたのだ。
大変な《女主人》としての務めや、夫人としての《社交》などしなくて良い。
屋敷で好きな事をして、楽しく過ごしてくれればそれで良い。
主人である私がそう言ったのだぞ?
忘れたのか!」
家令は
それまでと変わらぬ声で言った。
「――いいえ。
ちゃんと覚えておりますよ。
それではシャノン様を《奥様》とお呼びするだけでよろしいのですね?
と、私がお聞きしましたら良い、とお返事をいただきましたので。
忘れるはずがございません。
ご安心ください。
旦那様のお言いつけ通り。
屋敷の者はシャノン様を《奥様》と呼んではいても誰一人、《奥様》だとは思っておりません」
「……は?……いや。待て、アーネスト。私は――」
「――第一、シャノン様を妻だとおっしゃいますが。
シャノン様は旦那様の《妻》となってはおられませんよね。
それどころか婚姻後、三カ月一度も顔を合わせておられない。
それは旦那様がシャノン様を妻だと認めていないからなのでは?
屋敷の者は皆、そのように思っておりましたが」
「それはっ!……それは私が。
仕事が忙しく王宮にいたからで。シャノンのせいでは……!」
「ええ、旦那様は婚姻後――いえ、結婚式の途中より急な仕事だと王宮に行かれたままこの三ヶ月、一度も屋敷にはお戻りになられませんでしたからね。
私の、短時間でも屋敷に戻られてはという忠告の手紙も無視されて。
なら、これからもそうでございましょう?」
「勝手に決めつけるな!これからは――」
「――《これからも旦那様は戻られないわ。
名ばかりの妻がいる屋敷へなど、戻られるはずがないのよ》」
「―――――」
「シャノン様のお言葉です。私たち屋敷の者も同じ意見です。
ですので出て行くと言うならどうぞ、とお答えしましたが。何か問題でも?」
「違う」と小さく呟いて
ルカスは左右に首を振った。
だがはた、と気づいたように言う。
「それでも……アーネスト。私とシャノンの婚姻は王命だぞ?
シャノンを出て行かせるなど、何故そんな……っ。許されると思うのか?!」
顔を歪めて言うルカスを見て
だが、家令はやはり変わらぬ顔と声で言った。
「――許されますよ。婚姻は王命です。
ですが、結婚生活の有り様まで王が命じられているわけではありません」
「……何……?」
「ご存知だったのでは?
ですから夫である貴方が王宮に籠り仕事をしていても、咎められないのです。
同じですよ。
妻であるシャノン様が他国で誰と暮らしていても、咎められません。
書類上、婚姻が継続されていれば王命に背いているわけではないのです。
何の問題もありません」
「他国で……誰かと、だと?」
顔に絶望の色を浮かべたルカスに、家令は微笑んだ。
「ああ、誤解なさらないで下さい。
シャノン様は他国に《想う方》がいて、出て行かれたのではありませんよ?
ですが、王命で結ばれただけの妻。
なんの役目も果たさない、言うなれば妻という名の居候。
じきに人の口に上り蔑まれるのは必至です。
離縁して実家に戻ることも叶わない。
ただ屋敷に置かれ肩身の狭い思いをするだけ。
このままこの国にいても良いことは何もない。
他国を目指すというシャノン様の判断は正しいと考えますが?
そこで想う方でもできれば、その方がシャノン様も幸せではないですか」
「……そんなこと許せるわけないだろう!シャノンを連れ戻さないと!
どこだ!どこの国へ行った!」
再び詰め寄るルカス。
家令は困った人だ、と言うように額に手を当てて見せた。
「存じませんよ。
屋敷の者も誰一人、聞いてはおりません。
追えもしません。
屋敷の馬車を使って出て行かれたのではないので。
探しても手がかりは見つからないでしょうね。
シャノン様は身ひとつで出て行かれましたから」
「……身ひとつ……だと……?」
「当然でしょう。
旦那様の言いつけで、シャノン様は身ひとつで嫁いでみえましたから。
何ひとつ、持って行く物はないでしょう?」
「あっただろう!ドレスでも宝石でも!何不自由なく暮らせるように用意した。
それを何ひとつ持たせず、身ひとつで行かせたのか?!
それではのたれ死ねと言うようなものではないか!」
「そう言われましてもシャノン様が要らないと仰いましたので。
まあ、そうでしょうね。
ただ住まわせてもらっているだけの屋敷の物。
名ばかりの夫から貰った物。
普通の人間なら持ち出せませんよ。盗っ人でもない限りは」
「―――――」
ルカスは雷に打たれたように動かない。
家令はそんな彼の前に、持っていた封筒を差し出し言った。
「持って行かれた物はありません。
置いて行かれたのはこちらだけです。―――どうぞ」
「……これは……シャノンからの手紙か?」
「いいえ。委任状です」
「委任状?」
「名ばかりでも《奥様》のシャノン様が居なければ取れない手続きがあります。
ですが、これさえあればそれらが取れるようになる。
《奥様》の承諾は不要になるのです。
王命ですので離婚は難しいですけれどね。
例えば……そうですね。
旦那様と娼婦の間にできた子どもでも《奥様が産んだ正統な嫡子》として届けることができますよ」
「な……」
「良かったですね。この紙一枚さえあれば、貴方にシャノン様は必要ない。
励んでくださいね、旦那様。
後継者は大切な問題ですよ。
お仕事より重要です。覚えておいてください。
お仕事よりずっと下だったシャノン様とは違うのです」
「―――――」
「報告は以上です。
では、私はこれで。
王太子殿下。
執務室にお招き下さったご厚意に感謝いたします。
大切な執務の邪魔をしましたこと、心よりお詫び申し上げます」
執務机につき、成り行きをただ見ていた王太子殿下は小さく頷いた。
そんな王太子殿下に一礼をし、家令はドアの方へと歩き出す。
家令がドアに手をかけようとした時、ルカスはようやく声を出した。
「……アーネスト」
「はい」
家令は振り向き、再び執務室の中を見る。
そこには執務机についた王太子殿下の姿と、
そして
その前に、呆然としたルカスの顔があった。
震える声でルカスは言った。
「お前は……私がどうしても妻にとシャノンを望んで
陛下に《王命》としていただいたのを、知っていたのではなかったのか……?」
懇願するようなルカスの言葉。
家令は微笑みながら。だが切り捨てるような鋭い言葉で答えた。
「勿論、知っておりましたよ。
お聞きした時は《奥様》を望まれたのだと思っておりましたが。
――まさか可愛い《お人形》を求められたとは。驚きました」
「―――――」
突然、ルカスはくるりと向きを変えた。
そして姿勢を正すと、執務机についている王太子殿下に向かい声を張り上げた。
「王太子殿下!」
「何かな」
「本日、只今をもって側近を辞めさせていただきます!」
「―――は?」
言うことだけ言って、再び向きを変えドアに向かって歩き出したルカス。
王太子殿下は慌てて立ち上がった。
「いや、ちょっと待ってルカス!どこに行く気?
奥さん探すの?どの国に行ったか、わからないんだろう?」
すでにドアの前にいたルカスは振り向きもせず答えた。
「まずは街道でシャノンらしき女性を見た者がいないか探します。
それから宿や食事を提供する店をあたる。
その後は……他国に行くなら必ず国境を抜ける。国境の警備兵に聞きます。
他国に行く女性は多くない。
妻が身分を偽っていたとしても、特徴を伝えれば誰か覚えているかもしれない」
「いや。簡単に言うけどそれ、一体どれだけあると思うの?
国境だけでも――って。
おーい。
……あーあ。
行っちゃったかあ……」
残された王太子殿下のため息は大きかった……。
ルカスは家令の言葉に固まった。
王宮の、王太子殿下の執務室だ。
いつものように王太子殿下と仕事をしていたところだった。
そこに話があると屋敷の家令がやってきた。
しかし主人であるルカスは仕事中だ。
普通ならば家令は誰かに伝言を託し、帰る。
だが今日、家令はそうしなかった。
長時間、ルカスの手が空くまで待つと言って帰らずにいたのだ。
家令が何か重要な知らせを持ってきたのだと察するのには十分だった。
それも直接、主人である自分に言わなければならない知らせ。
良い事だとは思えなかったので身構えてはいた。
だから想像は当たっていたと言える。
だが
それは考えもしなかった最悪なもので。
強く頭を殴られた気がして、ルカスはよろめいた。
「……何と言った?」
ルカスはごくりと唾を呑み込んだ。
「今……シャノンが……。
妻が、昨日……家を出て行ったと……?そう言ったのか……?」
ルカスが恐る恐る聞けば、家令は小さく礼をしてけろりと答えた。
「はい、旦那様。その通りでございます」
ルカスは殴りかからんばかりの勢いで家令に詰め寄った。
「何故だ!どうしてシャノンが?
アーネスト!お前は何をしていたっ!どうして止めなかった?!」
「はい?……何故、お止めしなければならないのです?」
「なんだと?!」
「シャノン様は三ヶ月、ただ屋敷に居た《だけ》ではないですか。
《女主人》としての務めも、夫人としての《社交》も何もなさっていません。
おられなくとも、なんの支障もございません。
出て行く、と言うのをお止めしなければならない理由がどこにあるのですか?」
ルカスは息を呑んだ。
家令の態度は、ルカスには信じられないものだった。
何故、冷静にそんなことが言えるのか。
「何を……言っている?シャノンは私の妻だぞ?
それに、家令であるお前は知っているだろう!
シャノンが何もしなかったのは、私が彼女に《しなくて良い》と言ったからだ!
成人して、すぐに格上の我が家へ嫁いできたのだ。
大変な《女主人》としての務めや、夫人としての《社交》などしなくて良い。
屋敷で好きな事をして、楽しく過ごしてくれればそれで良い。
主人である私がそう言ったのだぞ?
忘れたのか!」
家令は
それまでと変わらぬ声で言った。
「――いいえ。
ちゃんと覚えておりますよ。
それではシャノン様を《奥様》とお呼びするだけでよろしいのですね?
と、私がお聞きしましたら良い、とお返事をいただきましたので。
忘れるはずがございません。
ご安心ください。
旦那様のお言いつけ通り。
屋敷の者はシャノン様を《奥様》と呼んではいても誰一人、《奥様》だとは思っておりません」
「……は?……いや。待て、アーネスト。私は――」
「――第一、シャノン様を妻だとおっしゃいますが。
シャノン様は旦那様の《妻》となってはおられませんよね。
それどころか婚姻後、三カ月一度も顔を合わせておられない。
それは旦那様がシャノン様を妻だと認めていないからなのでは?
屋敷の者は皆、そのように思っておりましたが」
「それはっ!……それは私が。
仕事が忙しく王宮にいたからで。シャノンのせいでは……!」
「ええ、旦那様は婚姻後――いえ、結婚式の途中より急な仕事だと王宮に行かれたままこの三ヶ月、一度も屋敷にはお戻りになられませんでしたからね。
私の、短時間でも屋敷に戻られてはという忠告の手紙も無視されて。
なら、これからもそうでございましょう?」
「勝手に決めつけるな!これからは――」
「――《これからも旦那様は戻られないわ。
名ばかりの妻がいる屋敷へなど、戻られるはずがないのよ》」
「―――――」
「シャノン様のお言葉です。私たち屋敷の者も同じ意見です。
ですので出て行くと言うならどうぞ、とお答えしましたが。何か問題でも?」
「違う」と小さく呟いて
ルカスは左右に首を振った。
だがはた、と気づいたように言う。
「それでも……アーネスト。私とシャノンの婚姻は王命だぞ?
シャノンを出て行かせるなど、何故そんな……っ。許されると思うのか?!」
顔を歪めて言うルカスを見て
だが、家令はやはり変わらぬ顔と声で言った。
「――許されますよ。婚姻は王命です。
ですが、結婚生活の有り様まで王が命じられているわけではありません」
「……何……?」
「ご存知だったのでは?
ですから夫である貴方が王宮に籠り仕事をしていても、咎められないのです。
同じですよ。
妻であるシャノン様が他国で誰と暮らしていても、咎められません。
書類上、婚姻が継続されていれば王命に背いているわけではないのです。
何の問題もありません」
「他国で……誰かと、だと?」
顔に絶望の色を浮かべたルカスに、家令は微笑んだ。
「ああ、誤解なさらないで下さい。
シャノン様は他国に《想う方》がいて、出て行かれたのではありませんよ?
ですが、王命で結ばれただけの妻。
なんの役目も果たさない、言うなれば妻という名の居候。
じきに人の口に上り蔑まれるのは必至です。
離縁して実家に戻ることも叶わない。
ただ屋敷に置かれ肩身の狭い思いをするだけ。
このままこの国にいても良いことは何もない。
他国を目指すというシャノン様の判断は正しいと考えますが?
そこで想う方でもできれば、その方がシャノン様も幸せではないですか」
「……そんなこと許せるわけないだろう!シャノンを連れ戻さないと!
どこだ!どこの国へ行った!」
再び詰め寄るルカス。
家令は困った人だ、と言うように額に手を当てて見せた。
「存じませんよ。
屋敷の者も誰一人、聞いてはおりません。
追えもしません。
屋敷の馬車を使って出て行かれたのではないので。
探しても手がかりは見つからないでしょうね。
シャノン様は身ひとつで出て行かれましたから」
「……身ひとつ……だと……?」
「当然でしょう。
旦那様の言いつけで、シャノン様は身ひとつで嫁いでみえましたから。
何ひとつ、持って行く物はないでしょう?」
「あっただろう!ドレスでも宝石でも!何不自由なく暮らせるように用意した。
それを何ひとつ持たせず、身ひとつで行かせたのか?!
それではのたれ死ねと言うようなものではないか!」
「そう言われましてもシャノン様が要らないと仰いましたので。
まあ、そうでしょうね。
ただ住まわせてもらっているだけの屋敷の物。
名ばかりの夫から貰った物。
普通の人間なら持ち出せませんよ。盗っ人でもない限りは」
「―――――」
ルカスは雷に打たれたように動かない。
家令はそんな彼の前に、持っていた封筒を差し出し言った。
「持って行かれた物はありません。
置いて行かれたのはこちらだけです。―――どうぞ」
「……これは……シャノンからの手紙か?」
「いいえ。委任状です」
「委任状?」
「名ばかりでも《奥様》のシャノン様が居なければ取れない手続きがあります。
ですが、これさえあればそれらが取れるようになる。
《奥様》の承諾は不要になるのです。
王命ですので離婚は難しいですけれどね。
例えば……そうですね。
旦那様と娼婦の間にできた子どもでも《奥様が産んだ正統な嫡子》として届けることができますよ」
「な……」
「良かったですね。この紙一枚さえあれば、貴方にシャノン様は必要ない。
励んでくださいね、旦那様。
後継者は大切な問題ですよ。
お仕事より重要です。覚えておいてください。
お仕事よりずっと下だったシャノン様とは違うのです」
「―――――」
「報告は以上です。
では、私はこれで。
王太子殿下。
執務室にお招き下さったご厚意に感謝いたします。
大切な執務の邪魔をしましたこと、心よりお詫び申し上げます」
執務机につき、成り行きをただ見ていた王太子殿下は小さく頷いた。
そんな王太子殿下に一礼をし、家令はドアの方へと歩き出す。
家令がドアに手をかけようとした時、ルカスはようやく声を出した。
「……アーネスト」
「はい」
家令は振り向き、再び執務室の中を見る。
そこには執務机についた王太子殿下の姿と、
そして
その前に、呆然としたルカスの顔があった。
震える声でルカスは言った。
「お前は……私がどうしても妻にとシャノンを望んで
陛下に《王命》としていただいたのを、知っていたのではなかったのか……?」
懇願するようなルカスの言葉。
家令は微笑みながら。だが切り捨てるような鋭い言葉で答えた。
「勿論、知っておりましたよ。
お聞きした時は《奥様》を望まれたのだと思っておりましたが。
――まさか可愛い《お人形》を求められたとは。驚きました」
「―――――」
突然、ルカスはくるりと向きを変えた。
そして姿勢を正すと、執務机についている王太子殿下に向かい声を張り上げた。
「王太子殿下!」
「何かな」
「本日、只今をもって側近を辞めさせていただきます!」
「―――は?」
言うことだけ言って、再び向きを変えドアに向かって歩き出したルカス。
王太子殿下は慌てて立ち上がった。
「いや、ちょっと待ってルカス!どこに行く気?
奥さん探すの?どの国に行ったか、わからないんだろう?」
すでにドアの前にいたルカスは振り向きもせず答えた。
「まずは街道でシャノンらしき女性を見た者がいないか探します。
それから宿や食事を提供する店をあたる。
その後は……他国に行くなら必ず国境を抜ける。国境の警備兵に聞きます。
他国に行く女性は多くない。
妻が身分を偽っていたとしても、特徴を伝えれば誰か覚えているかもしれない」
「いや。簡単に言うけどそれ、一体どれだけあると思うの?
国境だけでも――って。
おーい。
……あーあ。
行っちゃったかあ……」
残された王太子殿下のため息は大きかった……。
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