ケモミミ奇譚

巫崎 謳

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Prologue

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暗い………。

洞窟の中、大きな物体が動く。


「ここですね…。」

「ええ、老龍…グラ・ティ・アマト。長きに渡る時間を過ごし、全盛期には地を焼き海を枯らしたとも言われている……。」

「そこまでいくと本当に神話ですけどね…」

「それほどすごかった龍なんだ。今では老龍と呼ばれているが、見たものがほとんど全員死ぬもので、全盛期には幻竜友呼ばれていたんだよ。」

ローブを羽織った少女…と盾と剣を持った騎士が歩く。その後ろには槍を携えた男性と双剣を携えた女性がいた。

そしてその一番後ろにはシスターと呼びべき服の女性が一人。

大きな生き物は歩いてくる足音と話し声をただ静かに聞いていた。

やがて一行は洞窟の一番奥へとやってきた。
そこにはとても大きな空洞があった。

「あぁ……やっと来たか…。人の子らよ。待ちくたびれたぞ。」

一行は固唾を飲む。その強大さと威圧に押し負けそうになる。目の前には老龍…もとい、幻竜グラ・ティ・アマト、その龍がいた。

「……は……はじめまして。王都より仰せつかりました…。ルアト・リムルアと申します…。」

「はじめまして。幻竜グラ・ティ・アマト。
私はシスター・アリス。…今日、ここへやってきたのは…」

シスターが続きを話そうとすると、幻竜が遮った。

「今日ここへやってきたのは、我を葬るためだろう…。我ももう長くはない…。その上生きるためにマナを消費する。世界の崩壊も免れん。」

「さすが幻竜…。そのとおりでございます。」

「流石です。ここまで柔和に話が進むとは思いませんでした。」

「人の子らは心配性だな…。始めると良い。」

「光よ。精霊よ。召されるものよ。光を纏え。聖なる鎮魂歌よ、天に響け。光ある鎮魂歌ルミナ・レクイエム
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