【本編完結】病弱な三の姫は高潔な竜騎士をヤリ捨てる

クマ三郎@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
58 / 121

58

しおりを挟む





 “一生私と添い遂げてくれますか”
 最初からそう言ってくれればよかった。
 でもフィランは言葉にするのが苦手な人。
 (だからこれからは、大切な事を言葉にしてあげるのは私の役目だわ)
 けれどこんな肝心な時にフィランはまたも固まる。
 あれ?
 どうしたのかしら。
 普通ここは“リシャ!!”って言って抱き合う感動的な場面じゃないかしら。
 さり気なくだけどかなり勇気を出してプロポーズしたのにフィランは一点を見つめたまま動かない。まるでゼンマイの切れた玩具のよう。

 「フィー?フィー?」

 目の前で手をフリフリしてみるも反応がない。さっきの愛称決定の瞬間もそうだったが今回のこの反応。
 エリーシャは思った。
 情緒のおかしいこの人との人生は大変苦労しそうだがしかし……
 (最高に幸せで、楽しそうだわ……!)
 うふふ、と笑いエリーシャは白い膨らみの中にフィランの頭をしまい込む。

 「……フィー……愛してるわ……そして私を愛してくれてありがとう……。」

 「……リシャ……!!」

 (反応が遅いわ……でも大好き……!!)
 そして抱き締められて正気を取り戻したエリーシャの銀の竜は、彼女を再び抱きかかえて家へと戻ったのだった。


 *


 フィランはゆっくりとエリーシャをベッドに下ろすと、小さな身体を後ろから包み込むように抱き締めた。
 首筋に顔を埋めると何とも言えない甘い香り。フィランはどうしてこれほどまでにエリーシャが甘い香りに包まれているのか不思議でならなかった。
 するとその時エリーシャがフィランの方を向き、フィランのこめかみに顔を寄せてスンスンと匂いを嗅いで言った。

 「……フィーの匂い大好き……とってもいい匂いなの……」

 フィランはまた何も言えなくなってしまった。
 だって自分が考えてる事をエリーシャは全部わかっているかのよう。
 欲しい言葉を貰うには努力しなきゃいけないのはわかってる。でもエリーシャはいつも先回りしてその言葉をくれるのだ。
 自分の欲しい言葉だけじゃなく、そうだったらいいのにという願望まで。

 「リシャ……きっと私達は唯一の相手……。だからこんなにも愛おしい香りがするのです。」

 「フィー……」

 フィランはそのままエリーシャに口付けた。
 柔らかい唇をゆっくりと味わう余裕のない両手がエリーシャの膨らみと薄く柔らかな茂みへと伸びた。

 「……あ……んっ…………」

 華奢な身体に似つかわしくない、まろみのあるやわらかな膨らみへ指が飲まれていく。
 そしてもう片方の手は熱く湿った茂みをかき分けるようにして進む。
 指が溶けてしまいそうなほど熱を持った柔らかな肉。ゆっくり円を描くようにして触れるとエリーシャは快感に耐えるように腕にしがみつく。

 「……やぁ……恥ずかしい……」

 フィランの腕の中で身体を縮こませるようにして恥ずかしがるエリーシャ。
 しかしそんな仕草一つとってもフィランにとっては得難い喜びだ。
 
 「……リシャ……可愛い……」

 耳元でそう囁くとフィランは花芽を優しく撫で始めた。
 すると途端にエリーシャの身体に力が入る。

 「あっ……あんっ!!」

 中指で優しく捏ねるように触れるとその啼き声は更に高くなり、フィランの下腹部に耐え難い疼きをもたらした。 
 (ナカにも触れたい……でも指は挿入たくない……)
 本当は奥まで指を沈ませてその感触を知りたかったが、万が一傷をつけるような事があれば自分を許せなくなる。
 なのでフィランはたっぷりと蜜を指に纏わせ傷付けないようにして表面を撫で回した。芯に触れてもらえずもどかしいエリーシャはたまらず何度も声を上げる。

 「リシャ……」

 ぐずぐずに蕩け力の抜けたエリーシャをフィランは膝立ちになるように導いた。
 そして自身も同じようにベッドに両膝を付くとエリーシャの身体を支えるように後ろから抱き、たっぷりと時間をかけながら熱く滾る熱杭を奥まで沈ませた。
 
 「あっ!あぁん!!」

 自分のナカを隙間なく埋め尽くすその質量に驚いたエリーシャは、無意識に腰を浮かせ逃げ場を探そうとした。しかしフィランの腕はしっかりとエリーシャの腰を抱えて離さない。

 「……あ……ひぅっ……!!」

 奥深くまで貫かれ、エリーシャはたまらず身体を仰け反らせた。
 ジンジンとした甘い疼きが花芯からじわじわと身体の隅々まで広がっていく。
 フィランはエリーシャを後ろから抱き締めたままじっとしていた。

 「……竜はこうやって一つになったままずっと愛を囁き続けるんです……。」

 耳に熱い息がかかりエリーシャの蜜壺はきゅうっとフィランを締め付けた。

 「彼らが愛する者と身体を交わらせる事は人生でそう何度もありません……だからその一瞬を何よりも大切に愛おしむ。一晩かけてじっくり愛し合うんです……。」



 

 



 


 
しおりを挟む
感想 215

あなたにおすすめの小説

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

あなたが残した世界で

天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。 八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。

褒美だって下賜先は選びたい

宇和マチカ
恋愛
お読み頂き有り難う御座います。 ご褒美で下賜される立場のお姫様が騎士の申し出をお断りする話です。 時代背景と設定をしっかり考えてませんので、部屋を明るくして心を広くお読みくださいませ。 小説家になろうさんでも投稿しております。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

出生の秘密は墓場まで

しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。 だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。 ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。 3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。

処理中です...