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しおりを挟む“一生私と添い遂げてくれますか”
最初からそう言ってくれればよかった。
でもフィランは言葉にするのが苦手な人。
(だからこれからは、大切な事を言葉にしてあげるのは私の役目だわ)
けれどこんな肝心な時にフィランはまたも固まる。
あれ?
どうしたのかしら。
普通ここは“リシャ!!”って言って抱き合う感動的な場面じゃないかしら。
さり気なくだけどかなり勇気を出してプロポーズしたのにフィランは一点を見つめたまま動かない。まるでゼンマイの切れた玩具のよう。
「フィー?フィー?」
目の前で手をフリフリしてみるも反応がない。さっきの愛称決定の瞬間もそうだったが今回のこの反応。
エリーシャは思った。
情緒のおかしいこの人との人生は大変苦労しそうだがしかし……
(最高に幸せで、楽しそうだわ……!)
うふふ、と笑いエリーシャは白い膨らみの中にフィランの頭をしまい込む。
「……フィー……愛してるわ……そして私を愛してくれてありがとう……。」
「……リシャ……!!」
(反応が遅いわ……でも大好き……!!)
そして抱き締められて正気を取り戻したエリーシャの銀の竜は、彼女を再び抱きかかえて家へと戻ったのだった。
*
フィランはゆっくりとエリーシャをベッドに下ろすと、小さな身体を後ろから包み込むように抱き締めた。
首筋に顔を埋めると何とも言えない甘い香り。フィランはどうしてこれほどまでにエリーシャが甘い香りに包まれているのか不思議でならなかった。
するとその時エリーシャがフィランの方を向き、フィランのこめかみに顔を寄せてスンスンと匂いを嗅いで言った。
「……フィーの匂い大好き……とってもいい匂いなの……」
フィランはまた何も言えなくなってしまった。
だって自分が考えてる事をエリーシャは全部わかっているかのよう。
欲しい言葉を貰うには努力しなきゃいけないのはわかってる。でもエリーシャはいつも先回りしてその言葉をくれるのだ。
自分の欲しい言葉だけじゃなく、そうだったらいいのにという願望まで。
「リシャ……きっと私達は唯一の相手……。だからこんなにも愛おしい香りがするのです。」
「フィー……」
フィランはそのままエリーシャに口付けた。
柔らかい唇をゆっくりと味わう余裕のない両手がエリーシャの膨らみと薄く柔らかな茂みへと伸びた。
「……あ……んっ…………」
華奢な身体に似つかわしくない、まろみのあるやわらかな膨らみへ指が飲まれていく。
そしてもう片方の手は熱く湿った茂みをかき分けるようにして進む。
指が溶けてしまいそうなほど熱を持った柔らかな肉。ゆっくり円を描くようにして触れるとエリーシャは快感に耐えるように腕にしがみつく。
「……やぁ……恥ずかしい……」
フィランの腕の中で身体を縮こませるようにして恥ずかしがるエリーシャ。
しかしそんな仕草一つとってもフィランにとっては得難い喜びだ。
「……リシャ……可愛い……」
耳元でそう囁くとフィランは花芽を優しく撫で始めた。
すると途端にエリーシャの身体に力が入る。
「あっ……あんっ!!」
中指で優しく捏ねるように触れるとその啼き声は更に高くなり、フィランの下腹部に耐え難い疼きをもたらした。
(ナカにも触れたい……でも指は挿入たくない……)
本当は奥まで指を沈ませてその感触を知りたかったが、万が一傷をつけるような事があれば自分を許せなくなる。
なのでフィランはたっぷりと蜜を指に纏わせ傷付けないようにして表面を撫で回した。芯に触れてもらえずもどかしいエリーシャはたまらず何度も声を上げる。
「リシャ……」
ぐずぐずに蕩け力の抜けたエリーシャをフィランは膝立ちになるように導いた。
そして自身も同じようにベッドに両膝を付くとエリーシャの身体を支えるように後ろから抱き、たっぷりと時間をかけながら熱く滾る熱杭を奥まで沈ませた。
「あっ!あぁん!!」
自分のナカを隙間なく埋め尽くすその質量に驚いたエリーシャは、無意識に腰を浮かせ逃げ場を探そうとした。しかしフィランの腕はしっかりとエリーシャの腰を抱えて離さない。
「……あ……ひぅっ……!!」
奥深くまで貫かれ、エリーシャはたまらず身体を仰け反らせた。
ジンジンとした甘い疼きが花芯からじわじわと身体の隅々まで広がっていく。
フィランはエリーシャを後ろから抱き締めたままじっとしていた。
「……竜はこうやって一つになったままずっと愛を囁き続けるんです……。」
耳に熱い息がかかりエリーシャの蜜壺はきゅうっとフィランを締め付けた。
「彼らが愛する者と身体を交わらせる事は人生でそう何度もありません……だからその一瞬を何よりも大切に愛おしむ。一晩かけてじっくり愛し合うんです……。」
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