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しおりを挟むエルニカから来たのは第二王子のイーサン様だと言う。
エリーシャはレオノールに言われた通り、歓迎の宴席へと向かった。
「エリーシャ!身体は大丈夫なのかい?」
宴が開かれている広間には既に父と母も来ており、エリーシャが姿を現した事に驚いた。
「ね、お父様お母様。エリーシャもこのお話には乗り気なのよ。」
そこへレオノールが口を挟む。
「乗り気……?レオノールお姉様、何の事?」
「もう、エリーシャったらとぼけちゃって。イーサン様とあなたの縁談に決まってるじゃない!宰相様から話は聞いたんでしょう?」
「縁談!?」
そんなの聞いてない。
いや待てよ……そういえば以前宰相様が……
『実は……エリーシャ様に良いお話が届きまして……!』
まさか……まさかお姉様と宰相様は私をエルニカに嫁がせようとしてここへ呼んだの……?
「初めましてエリーシャ姫。エルニカから参りましたイーサンと申します。」
エリーシャの前に出たのは軽薄そうな顔つきの、おそらく自分より少し年上の男性だった。
イーサンと名乗った青年はエリーシャを値踏みするような目で見た後、少し強引にその手を引いた。
「まさかこんなに美しい方だったなんて。宰相殿には感謝しなければなりませんね。」
彼の側に控えていた宰相は満足気に微笑む。
「いえいえ。エリーシャ姫もイーサン殿下とのご縁を喜んでおられますよ。ねえ、姫様?」
そんな事望む訳もない。どうして堂々と嘘をつきながらそんなに気持ち悪く微笑む事が出来るのか。
「さあさあ、お話はそれくらいにして席に着きましょう。」
レオノールは上機嫌だ。
自分の意思とは関係なしに話は進んで行く。
エリーシャは今すぐこの場から逃げ出したかったが、イーサンはエリーシャの手を握ったまま離さない。
エリーシャの頭は怒りと悲しみでいっぱいだった。
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