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 「……大丈夫なのですか?」

 フィランは少し顔色の悪いエリーシャに声を掛けた。
 
 「フィラン様……すみません。ちょっと驚いてしまって。私、宴席なんて今まで出た事がないから……」

 何で今回に限ってそんな事を言うのだろう。
 父と母も了承している事なのだろうか。

 「お身体に障るようならお断りしても……特に失礼にはあたらないでしょう。」

 「ええ……でも……。」

 姉があんなに強い口調で何かを頼んでくるのは初めての事だ。
 普段役立たずな自分に負い目のあるエリーシャは、とても断る事など出来ない。
 すると悩むエリーシャにフィランは

 「ではその日私は宴の間の近くに控えております。何かあったら必ず私の元へ来て下さい。」

 「フィラン様……でも……!!」

 「いいですね。約束です。」

 フィランの顔はとても真剣だ。

 「ピィィ!!」

 そして子竜もエリーシャにつかまり立ちをしながら何かを訴える。

 「……あなたもそうしろって言うの?」

 「ピィ!!」

 不本意だがそうしてくれ頼む。
 何だかそんな風に聞こえてエリーシャは笑う。

 「わかったわ。フィラン様、何かあったらすぐに助けを求めます。よろしくお願いします。」

 フィランは自分が控えている事は誰にも内緒にしてくれと言うのでエリーシャは言う通りにした。

 そしてそれから一週間後、エルニカの王子がやって来たのだった。
 

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