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7章
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しおりを挟む「カイデン将軍…本当に来てくれるかなぁ…」
マリーが退室した後、薄明かりの中クリストフは呟く。
「王を諌めようとしたくらいだ。正義感の強い男なのは間違いない。あのリンシア王女が“信頼できる”とまで言ったんだ。正義感だけでなく民を思う気持ちも人一倍あるはずだ。ただ…」
ユリシスはそこまで言って口ごもる。
「ただ…何ですか?殿下。」
「…ただ、今の彼にどれだけの権限があるかだ。遠ざけられているだけなら問題無いだろうが、軍を動かす事を禁じられていては話にならない。リンシア王女が国を留守にしている間にジョエルが来たことで情勢は更に悪くなっているかもしれない。」
「…もしカイデン将軍が駄目ならどうします?強行突破しますか?」
「いや、それは駄目だ。城内の兵士の数が多すぎる。そこへラシード将軍の軍が加われば勝ち目は無い。カイデン将軍は軍を動かせなくても私兵を抱えているはず。何としてでも合流しなければ。」
その時、扉を一定のリズムを刻んで叩く音がする。
「あ、リンシア王女だ。」
扉の向こうから現れたリンシア王女は浮かない顔をしている。
「どうしたの?何かあった?」
クリストフがリンシア王女を気遣うと、彼女からは深いため息が帰ってくる。
「…可哀想で見てられませんわ……。マリエル様、お腹に赤ちゃんもいるのに……。」
「何!?マリエル様ひどい事されたの!?」
「違いますわ。むしろその逆です。ジョエル様ったらマリエル様にベッタリで……。殿下に会った後だから尚更お辛いでしょうね……。」
ユリシスは下を向いたまま何も言わない。
「殿下よく我慢できますね…僕だったらとても平常心でなんていられない。すぐにでも剣を抜くかもしれない。」
「……我慢できる訳無いさ…。今だってあいつをすぐにでも殺してやりたいと思ってるし、実際この戦いが終わればそうするさ。」
「でも…リンシア王女には申し訳無いけど、うちの軍を使って全面的に戦いを仕掛ける事だって出来たでしょう?王子妃が拐われたんだ。戦うのには充分過ぎる理由です。」
「確かにな…。だがそれでは多くの血が流れマリーの身の安全は保証されない。追い詰められたジョエルがマリーを道連れに死ぬ事だって有り得る。」
ユリシスの言葉にその場の全員が沈黙した。
「それに…マリーはダレンシアが滅びる事を望まない。彼女はダレンシア国王がどんな人物であるのかを正しく把握していた。その上リンシア王女の性根を見てしまったからな。国と民を思うその心を……。
マリーはガーランドの次期王妃となる唯一人の女性だ。これはそのために乗り越えなければならなかった事の一つ。私が王に、そしてマリーが王妃になるための険しい道はもうずっと前から始まっていたんだ。
大丈夫だ。ダレンシア国王の志を継ぐものは必ずいる。私達はマリーを救う。そしてダレンシアはこの国を真に思う者が取り返す。だから信じて待とう。必ず援軍は来る。」
ユリシスの言葉にクリストフは大きく頷き、リンシア王女は目に涙を滲ませた。
いつも【マリーの憂鬱】をお読みいただきありがとうございます(´(ェ)`)クマ三郎です。
昨日は再びの更新ストップ…誠に申し訳ございませんでした!猛省しております。
そして先日、お気に入り登録をしていただいた方が200人に到達したと知り、本当に感激しております。
こんな素人の文章をこんなにたくさんの方に読んでいただけるなんて幸せです。
優しく温かい感想を下さる皆さんにも心から感謝いたします。
気付けばこんなに長いお話になってしまい、そして更に続いて行くのですが、どうぞ最後までよろしくお付き合い下さい☆
………あいつ更新また遅いな…サボってんな…とイライラされた時はどうぞもう一つの小説【鳥籠姫は夢を見る】の方で暇を潰していただければ幸いです⊂(^(工)^)⊃
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