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しおりを挟むセシルの手が背に回る。
太い腕が身体を支え、宙に浮かせられたと思ったら、あっという間にシャロンの衣服を剥ぎ取ってしまった。
淀みない動作は慣れている証だろうか。
シャロンは不思議でたまらなかった。
なぜ、好きでもない女とこんな事ができるのだろう。
抱きたければ、愛しい人を……アイリーンを抱けばいいのに。
不意に涙がこぼれそうになり、考えることをやめた。
セシルの大きな手がシャロンの胸を弄び、熱い舌が耳孔をなぞる。
耳にかかる息は熱くて荒い。
太腿に硬くて熱い昂ぶりがあたり、彼がシャロンの身体に欲情しているのがわかった。
性急だった前回とは違い、手と舌でひとしきりシャロンを翻弄したあと、セシルは自身をシャロンの中に押し進めた。
「ぅ……あっ……!!」
初めての時の、引き裂かれるような痛みが思い出され、シャロンの身体は無意識に強張った。
「……っ、力を……抜け」
こんなにつらいのに、できるはずがない。
耐えきれず、セシルの腕から逃れようとするシャロンの身体を逞しい両腕が抱き留めた。
「あっ、あっ、いやっ!」
焼け付くような熱杭が奥深くまで穿たれ、目の前にチカチカと火花が飛び散る。
セシルと繋がる場所が隙間なくぴったりと重なり、最奥まで収まったのを感じた。
初めての時ほどではなかったが、熱を持ってジンジンと痛む。
だが痛むのは秘所だけではなかった。
心もだ。
「……っ……ふ、ぅっ……!」
どうでもいいと、好きにしてくれればいいと覚悟を決めたはずだった。
けれど彼の熱い昂ぶりで埋められた身体と心は恐ろしいほどに空虚で、切なかった。
「泣くな」
興ざめだと言いたいのだろう。
よほどの悪党でない限り、多少なりとも罪悪感は感じるのだろうから。
でも涙は止まってくれなくて、嗚咽まで混じり出す。
シャロンは両手で口を押さえ、必死で堪えた。
「泣くな」
セシルはもう一度そう言うと、覆いかぶさるようにしてシャロンを抱き締めた。
頭の中が真っ白になる。
欲望のままにシャロンを犯し、この虚しい時間をいっときでも早く終わらせてくれればいいのに。
それなのになぜこんなことをするのだ。
「……シャロン」
耳元で囁かれ、ぞわぞわとしたものが腰のあたりに広がっていく。
セシルに名前を呼ばれるのは初めてのことだった。
(どうしてこんな時に……)
これまで一度だって呼んでくれなかったのに。
「シャロン」
セシルはもう一度名を呼ぶと、熱い昂ぶりをぎりぎりまで引き抜き、再び突き入れた。
そしてまたゆっくりと引き抜き、奥まで抉るように打ち付ける。
「あっ、あぁっ!……んぅ」
徐々に激しくなる抽挿に声を上げるシャロンの唇をセシルのそれが塞ぐ。
華奢な身体をきつく抱き締めたまま、セシルはシャロンが気を失うまで責め続けた。
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