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第一章

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    ……今日は床今日は床今日は床だ!!! 

    やった!念じれば叶う!
    今日はベッドの上じゃなくアンリ様の部屋の床に着地できた。
    アンリ様起きてるかしら……?
    ベッドを見るとアンリ様は横になっているようだ。寝てるのだろうか…足音を消してそっと近付いてみる。

    「アンリ様!!」

    しかしその顔は青白く、浅い呼吸を何度も何度も繰り返している。
    私が来なかったからだわ…。こんな苦しそうに…。

    「アンリ様ごめんなさい…ごめんなさい…」

    あんなに優しくしてくれたのに。こんなひどい目に遭わせてしまった。

    「……エル…フィリア………?」

    「アンリ様、お口を開けて?今あげるから!」

    アンリ様の頬を両手で包むと僅かに唇が開く。

    「アンリ様……」

    そっと唇を合わせるとアンリ様の口の中から甘い味がする。
    これ……この前の………
    それは以前アンリ様に渡した元気のお薬。私のあげた飴の味。
    ……アンリ様……!!
    何でかわからないけど涙が出て止まらなかった。アンリ様が私が来なくて元気になれなくて、それでこの飴を舐めたのだと思ったら急に悲しくて切なくなってしまったのだ。
    きっと私の下にいるアンリ様の頬はびしょ濡れになっているはず。それでもアンリ様は優しく私の背に手を回し、ゆっくりと撫でてくれた。何回も何回も。

    そして訪れる倦怠感。目の前で星が飛ぶ私の身体はベッドの柔らかい感触の中に沈む。
    目の前が真っ暗で何も見えないけど、今私アンリ様のベッドの上にいるの…?

    「アンリ様……?」

    暗闇の中手を彷徨わせるとアンリ様の大きな手がそれを包む。

    「…ここにいるよ。……もう会えないかと思った……。」

    「ごめんなさいアンリ様…ごめんなさい…!」

    「泣かないでエルフィリア…ううん、エルフィリア姫……。」

    「…黙っていてごめんなさい……」

    「いいんだ…それでいいと言ったのは私なのに…本当にごめん……。」

    アンリ様は私をその胸に抱き寄せ、回復するまでそうしていてくれた。



    

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