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もうめんどくさいです

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「お前はいつになったら、私と婚約破棄をすることに納得するんだ。我が家の財産が目当てなら慰謝料として私の私財をやろう」

穏やかな春の日差しが、とても素敵な一日なのに、なぜ私はこんなバカと退治しなければいけないのでしょうか。

「はぁ、あなたはオウムですか?」

記念すべき100回目ですし、もう受け入れて差し上げましょう。
きっと、お父上である宰相閣下の許可も得たのでしょう。

「私は、人間だ。マチルダの事をバカにするだけでは飽き足らず、身分が上の私の事までバカにするのか、この性悪が」

毎回思いますが、マチルダ・スクワ男爵令嬢様とは、あなたが連れてくる時と彼女が勝手に近づいてくる時以外会ったこともないですし、学院でも皆様からお2人がどんな目で見られているか未だに理解してないようですね。

「かしこまりました。記念すべき100回目のお言葉ですし、最初にお言葉にされてからもう3ヶ月経ってますから。お受け致しますわ。婚約破棄を」

受け入れなかった理由が過去99回が学院内で言われて、書類を持ち合わせていなかったからと言うだけですけど。

「ようやく理解したか。ふん、お前と婚約破棄できるなら私の私財くらい痛くも痒くもない」

なんかふんぞり返っていますが、あなたの微々たる私財など、興味もないのですけどね。

「では、こちらの書類にサインを。あと、これは、家同士の婚約でしたので、父とあなたのお父上である宰相閣下に先程事の経緯とあなたの100回にわたる婚約破棄の要請を記録した映像を転移魔法陣で送りましたので」

全ての書類にサインを終わる頃に言い終わるように、言葉を紡ぐとサインを終わってから顔を上げた馬鹿は真っ青な顔をしていた。

「私、毎回言いましたよね。家同士の婚約ですので、宰相閣下の許可を得てくださいと」

にっこり笑った私を見て口をパクパク開けるとソファから立ち上がり急いで部屋を出ていこうとした。

「伯爵家のお前が侯爵家の私にこんなことしてタダで済むと思うなよ」

悪役のお約束のようなセリフを吐いて出ていかれましたが、あなたと私、どちらが宰相閣下の信頼があるのでしょうね。

「はぁ、疲れたわ。ミア甘い紅茶を入れてくれるかしら」

「かしこまりました。ナターシャ様。にしても、あの方は子どもの頃から成長されてませんね」

「本当に。ご両親は素晴らしい貴族の見本なのになぜあぁなるのかしら」

私、ナターシャ・ハミルトン伯爵令嬢は、本日ようやく無能な婚約者から解放された。
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