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初めての感覚
しおりを挟む仰向けの状態で完全に無防備だった彼も私が腰を跨いだのを見て少し戸惑いの表情を見せた。
彼がまだ着けていなかったからだろうか、それとも…。心内を喋らせる間も与えず、 彼を抱きたいという混じりっ気無しの慾望に従って彼を受け入れた。
彼の温度が私の中に伝わる瞬間、ゆっくりと腰を下げて少しずつズズ…と彼が入ってくるのを感じた。これまで身体を舐め回されて翻弄されていた彼の肉腕も我慢の限界だったのかそれとも若さがそういうものなのか、
パンとした張りと強度のある膨らみは正に腕と名付けられるべく彼の腰にしっかりと居座り、彼の広い肩幅や男らしく太い首に見合ったものがそこに存在していた。
私は少しずつ、跨ぐ膝を横に滑らせ腰を降ろしていった。
静かな水面に浮かぶ新緑の葉のように、
ピンと張った真っ白なシーツに美しく浮かび上がる彼の身体。
ゆっくりとした呼吸で上下している広い胸板を見ながら無駄なく締まった彼の腰元に手を当てて彼を受け入れた。
グリグリと抉じ開けてくるような感覚に耐えられず私は思わずアッ…と声を漏らした。
主導権を握る為に選んだ体勢を保とうとしているのに、今にも腰から崩れ落ちそうになる程
溶け込んだ部分が熱く腹部から頭の先までジンジンと込み上げてくる。
悲しいぐらいに長い間、男を忘れてしまった身体は簡単には順応出来なかった。
まして今まで興味や妥協でその身を預けてくる事ばかりだった私にとって、初めて恋に落ちてから抱かれる事になった人だった。
彼を喜ばせてあげたいという理性が先に脳裏にあっても今ここにある身体はまるで言うことを聞かず
目覚めたばかりの本能に歓びの声を上げて震えていた。
彼がまだ総て入った訳では無いのに、それ以上腰を降ろすことが出来ずに急激に上がった心拍数と呼吸を整えようと大きく肩を揺らして息をしていると
彼が下からグィと突き上げてきた。
「…あぁっ!」
彼と私が密着して彼の腰の温度が私の少し冷えたお尻や太腿(ふともも)に伝わった。総て入ってきた彼の肉腕はまるでお腹まで突き抜けるように圧迫してきて息苦しく感じる程だった。
彼が入ってきただけで身動きが取れなくなりハァハァと肩で息をしている私を見て、その瞬間から彼は主導権は私ではなく自分が握っているのだと気付いたように上半身を起こして座ったまま私を抱き上げた。
彼は私の両太腿の下へと腕を入れてきてフワリと持ち上げた。
「…!?」
私の体が一瞬宙に浮いて、そんな事は初めての感覚だったのでとても驚いた。身長170cmで、細く見えるのは横から見た時だけで肩幅は女性サイズで合うものが無いほど広く腰回りもあるので華奢に見えて実際は体格が良い。
そんな私はこれまでに男性に抱えられた事が実は無くて、自分が宙に浮くという感覚を味わった事が無かっただけに、彼に軽々と持ち上げられて宙に飛ばされた時は何が起きたか分からなかった。
彼は私を軽々と浮かせては自分の腰に落とし込み、それを何度も繰り返していわゆる結合したままの高い高いをしている状態だった。
あまりの出来事に私は浮く度に驚いてしまい、初めて乗ったアトラクションのようで彼に思い切りしがみついた。
私「スイッチ入った…?」
彼「…はい」
彼は私を抱き締めたままシーツの方へ向きを変えて私を寝かせると、両手を背中に入れてきて交差させるように肩を抱き締めた。
私の表情を見ながら最初は優しくゆっくりと中の感覚を味わうようにそして段々と強く擦るように波を起こした。
あぁ…っ!
初めて味わう快楽だった。
彼「どこが気持ち良いですか」
私「…奥が気持ち良い…」
彼は私の肩をしっかり掴み彼が腰を下からグィと押し込んでくる力と同時に私の肩を持つ手を力強く下へと押し下げて、彼の総てが入ってくるように何度も何度も奥まで入ってきた。
今まで、
出来れば早く
終わって欲しいと思っていた作業だった。
幼い頃に性的虐待を受けた事があった私は、そのストレスからかホルモンバランスを崩してしまったらしく身長だけは伸びたが体が女性らしく発育しなかった。
胸は友達は小学生高学年で膨らみだした時、痛がったりしこりみたいなものが出来ただとか言って騒いでいたのに、
私はいつまで経っても胸は全く膨らまないままだった。
痛くなった事も無く、
生理も周りが全員なっていく中で
中学3年の春がきてもまだ来なかった。
私の体は女性になる事を拒んだのか、それとも男に触られる事を拒んだのか。
セックスという作業など
しなくても良いような男性に出会えたらいいのにとさえ思っていた。
それでも女性という実感を受けたかった。必要とされる事で自分の生きている理由を作りたかった。39歳の今日まで。それで良かったのに。
私は初めて彼に抱かれる事が、交わる事が、頭が溶けそうな程気持ち良いと思った。
酔いに逃げている訳じゃなく、
そのままの自分で、そのままの彼に抱かれて私は初めて女に生まれたのだった。
次へ続く→【想う夜】
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