怪異の忘れ物

木全伸治

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飼育場『地球』

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彼らは、その圧倒的な科学技術で、地球上のすべての戦闘機や戦車などを動けなくして、すべての紛争を一気に終わらせた。しかも、食料が足りない地域に無償で新鮮な食料を届けた。彼らは、飢餓で苦しむ人々が誰もいなくなるように食料を届けたいようだった。そうして、働かなくても食べ物が届けられるようになると、肥満者が増えた。しかも、電力などのエネルギーも無償で提供され、彼らは働かずとも人間が生きていけるという楽園を地球上に作った。これまで地球人が汚してきた自然も彼らの科学力により、奇麗に再生された。
人々の中には、彼らを神と崇める人も出て来て、何かおかしいと訴える人を糾弾するようになっていた。そして、自分たちが飼育され、丸々太るように食料が届けられていたと気づくころには、完全に餌づけされた地球人に抵抗できる力は残っていなかった。
たとえ彼らに食われるにしても、今日まで彼らの届けてくれた新鮮な食料のおかげで不自由なく生きて来られたのだからと無抵抗に地球外への出荷を受け入れる者が多かった。
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