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黒が落ち着く
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彼女は黒が落ち着くと言って、喪服みたいな黒い服を好み、家具も黒で揃えて、ついには家の外壁も業者に頼んで、黒く塗装してもらった。家具も服も壁もすべて黒で統一して生活した。彼女は才能あるフリーのデザイナーとして独り暮らしだったので、その趣味に文句を言う人はいなかった。が、猛暑の夏、連日真夏日が続き、彼女が家から出なくなり、彼女をサポートしていたエージェント会社が彼女の様子を見に行った時には、真っ暗な家の中で、何か異様なものを見たような怖い顔をして死んでいる彼女を見つけた。警察は、彼女の死亡原因を連日の猛暑による熱中症と結論付けて事件性はないとして処理した。
彼女が死ぬ間際何を見て、そんな顔をしたかは、今も分からない。
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