怪異の忘れ物

木全伸治

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冤罪

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逮捕状を持った刑事たちが、朝早く自宅に来て逮捕され、着の身着のままで拘留された。
もちろん、最初は警察の取り調べに対して、俺はやっていない、無実だと訴える気力はあった。だが、何時間も続く取り調べや、取調室と留置所との往復を数日繰り返せば、絶望感が増していく。つい自分がやりましたと認めたら楽になるんじゃないかと思い始めた頃だった。
目が覚めたら急に事件は解決し、警察のお偉いさんらしい人が数人平謝りして俺は無罪放免となった。
警察が俺を犯人と思い込み逮捕したのを知り、真犯人が調子に乗って第二、第三の犯行を行って、それでボロが出て真犯人が警察に捕まったので、俺は解放されたらしい。
もし、真犯人が調子に乗らず、おとなしくしていたら、俺の無罪は証明されなかったかもしれない。
だが、無罪釈放になっても、俺が警察に拘留されていた事実は消えず、俺は職場から解雇通知を受け取った。世間から警察に捕まるような後ろめたいところがあると噂されて、俺を絶望しながら自殺した。冤罪事件で警察相手に戦う強い人もいるが、俺はそういう強い人間ではなかった。
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