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妻に会いたくて
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俺たち夫婦は普通の仲だったと思う。だが、妻が亡くなって数年も経つとさすがに妻のいない寂しさを感じていた。しかも、俺たちには子供もいなかったし、人間、時が経てば、記憶が薄れて来るもので、妻の顔や声をいつまできちんと覚えていられるのか不安になってきていた。そんなとき、走馬灯を見る臨死体験ができるという研究が進んでいるという記事をネットで見かけた。
走馬灯を見れば、再び、妻の顔や声をはっきり思い出せると思い、その研究をしている教授と何とか連絡をつけ、その臨死体験の被験者に自ら名乗り出た。
万が一死亡しても責任は問わないという誓約書にサインして、なんとかその研究の被験者になった。
頭に無数の器具を取り付けて眠るだけだった。特に体に手術をすることもなく、臨死体験の実験に参加した。
「ほら、早く起きなさい、あなた、会社に遅れるわよ」
「え、会社?」
俺はその声に驚きつつも、たしか臨死体験の実験中のはずと冷静に考えていた。そして、その声の主の顔を確認しようと思って目を開けると、焦ったような顔をして俺を覗き込んでいた責任者の教授と目が合って驚いた。
「お、よかった。ちゃんと目が覚めたみたいだね」
「え、い、今の声は・・・」
「君は死にかけたんだよ、大丈夫かね」
「は?」
俺にとっては、わずかな時間だったが、俺が寝ている間に、俺の意識は、走馬灯どころではなく、脳死に近い状態まで落ち込んでいたそうだ。それで慌てて、実験を中止して、俺の蘇生をして、俺は目を覚ました。けれど、俺を起こそうとしたあの声は、間違いなく、妻の声だった。
死にかけて、妻に起こされたのだろうか。その声のことを教授にも話したが、あの実験中、そばに女性の助手はいなかったので、私の幻聴じゃないかと言われた。
走馬灯を見れば、再び、妻の顔や声をはっきり思い出せると思い、その研究をしている教授と何とか連絡をつけ、その臨死体験の被験者に自ら名乗り出た。
万が一死亡しても責任は問わないという誓約書にサインして、なんとかその研究の被験者になった。
頭に無数の器具を取り付けて眠るだけだった。特に体に手術をすることもなく、臨死体験の実験に参加した。
「ほら、早く起きなさい、あなた、会社に遅れるわよ」
「え、会社?」
俺はその声に驚きつつも、たしか臨死体験の実験中のはずと冷静に考えていた。そして、その声の主の顔を確認しようと思って目を開けると、焦ったような顔をして俺を覗き込んでいた責任者の教授と目が合って驚いた。
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