320 / 387
本物
しおりを挟む
「マジで、本物だって、おまえだって、亡くした奥さんに久しぶりに会いたいだろ。マジで、会えるから」
「おいおい、死んだ人間を呼びだせるわけがないだろ。お前、騙されてるんだよ。どうせ、高い金が要るんだろ」
「マジで、高い金出す価値はあるって」
友人は真剣だった。だが、俺には、友人が、そのインチキ霊媒師に騙されて大金を巻き上げられたとしか思えない。そして、こいつを利用して、俺からも金を巻き上げるつもりなんだろうが、そうはいかない。
「いいか、よく聞けよ。占い師と一緒だって、相手を見て、言ってほしそうな言葉をそれっぽく口にしてるだけだって。死んだ人間が身体に降りて来たみたいなフリをしてるだけだって」
「いいから、騙されたと思って会ってみろよ。依頼料は俺が代わりに出してやるから、本物だと信じたら俺に金を返すでいいから。それなら、いいだろ?」
「わかったよ、そこまで言うのなら会ってやるよ。本物じゃなかったら、俺は一銭も出さないから」
「ああ、いいぜ。きっと本物と認めて、俺に金を渡すさ」
自信満々の友人に案内されて、出会ったのは、薄汚いアパートの一室で、巫女服を着た婆さんだった。
「死んだ奥さんに会いたいんだってね」
「あ、ああ・・・」
友人から依頼内容を聞いているのか、その婆さんは、俺から詳しいことは聞かずに、俺と二人きりになると何かブツブツと唱え始めた。
「あ、あなた、久しぶり、また、会えるなんて」
「ん、ああ・・・」
婆さんの口から出て来た言葉に適当に相槌を打つ。
「やっぱり、偽物か・・・本物なら、俺に久しぶりとか言う前に恨み言が出て来るだろ」
「恨み言? でも、あなた、今、私の生命保険で楽しくやってるんでしょ、あなたが幸せなら、私はいいわ」
「おい、マジで、俺を恨んでいないというつもりか?」
「そうよ。それも愛でしょ」
「な・・・」
俺は言葉に詰まった、確かに、彼女なら、俺が保険金目当てで殺したとしても、愛しているから許すと言いそうだと思った。
「こうして、久しぶりに会えただけで、私は満足」
その婆さんが、愛おしそうに俺に手を伸ばしてきたので、思わず俺は、その婆さんの首を絞めた。そして、俺は、妻の保険金殺人では捕まらなかったが、その霊媒師の婆さん殺害で逮捕された。
「おいおい、死んだ人間を呼びだせるわけがないだろ。お前、騙されてるんだよ。どうせ、高い金が要るんだろ」
「マジで、高い金出す価値はあるって」
友人は真剣だった。だが、俺には、友人が、そのインチキ霊媒師に騙されて大金を巻き上げられたとしか思えない。そして、こいつを利用して、俺からも金を巻き上げるつもりなんだろうが、そうはいかない。
「いいか、よく聞けよ。占い師と一緒だって、相手を見て、言ってほしそうな言葉をそれっぽく口にしてるだけだって。死んだ人間が身体に降りて来たみたいなフリをしてるだけだって」
「いいから、騙されたと思って会ってみろよ。依頼料は俺が代わりに出してやるから、本物だと信じたら俺に金を返すでいいから。それなら、いいだろ?」
「わかったよ、そこまで言うのなら会ってやるよ。本物じゃなかったら、俺は一銭も出さないから」
「ああ、いいぜ。きっと本物と認めて、俺に金を渡すさ」
自信満々の友人に案内されて、出会ったのは、薄汚いアパートの一室で、巫女服を着た婆さんだった。
「死んだ奥さんに会いたいんだってね」
「あ、ああ・・・」
友人から依頼内容を聞いているのか、その婆さんは、俺から詳しいことは聞かずに、俺と二人きりになると何かブツブツと唱え始めた。
「あ、あなた、久しぶり、また、会えるなんて」
「ん、ああ・・・」
婆さんの口から出て来た言葉に適当に相槌を打つ。
「やっぱり、偽物か・・・本物なら、俺に久しぶりとか言う前に恨み言が出て来るだろ」
「恨み言? でも、あなた、今、私の生命保険で楽しくやってるんでしょ、あなたが幸せなら、私はいいわ」
「おい、マジで、俺を恨んでいないというつもりか?」
「そうよ。それも愛でしょ」
「な・・・」
俺は言葉に詰まった、確かに、彼女なら、俺が保険金目当てで殺したとしても、愛しているから許すと言いそうだと思った。
「こうして、久しぶりに会えただけで、私は満足」
その婆さんが、愛おしそうに俺に手を伸ばしてきたので、思わず俺は、その婆さんの首を絞めた。そして、俺は、妻の保険金殺人では捕まらなかったが、その霊媒師の婆さん殺害で逮捕された。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる