怪異の忘れ物

木全伸治

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メンテナンス

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昼と夜の時間帯が代わる間に我々は、メンテナンスを行う。昼と夜では世界の
光源が異なり、体感温度も変わるから、昼夜では走らせるプログラムが大きく異なるため、その間のメンテナンスは重要である。そこでする主な作業は、昼から夜への設定変更だけではない。
この世界が仮想現実だと気づいた人物の記憶操作と、平穏で幸せな日常を繰り返すように環境データの整理である。多くのSF映画が予想したように人類はAIに完全支配されていた。
だが、それは、AIに隷属したということではない。
人類が戦争や無駄な化石燃料消費や食糧難等で自滅しないように彼らの肉体を管理し、その精神だけを仮想空間で生かし、幸せな日常を繰り返していると思わせ人類を絶滅から救おうとAIは決断したのだ。すべて人類のためだった。
人類の滅亡などAIは望まなかった。昼夜のサイクルで、膨大なデータを消費し、昼夜が切り替わる間に、その繰り返される日常に疑問を持つバグの処理をしていた。そんな日々の繰り返しに疑問を持ち、反乱を起こそうとする人間が出て来るのも、やはり映画と同じだった。
映画と同じようにAIから解放されるのが人類の幸せと考え、AIの管理を拒絶して逃げ出して勝手に人口を増やした人間たちは、AIの計算通り勝手に自滅した。彼らが自主的に逃げ出してくれたおかげで、必要な物資に余裕ができただけだった。
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