怪異の忘れ物

木全伸治

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光を越え

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光速の壁を越える恒星間航行が確立して、人々は太陽系外に航路を広げていた。航路が広がるということは、観光航路も増えるということだ。今流行しているのは、昔の地球を見る観光航路で、光を越えて、遠く離れて、大昔の地球の姿を遠くから光学観測するツアーが人気だった。
それこそ、何億光年も離れれば、離れた分だけ太古の姿を観測できるのだが、一番人気なのは、核戦争が起きる前の地球が観測できる百光年ほど地球から離れたツアーが人気だった。その核戦争の経緯は、いまだ不明な点が多い、と言うのも、きっかけが、大国と張り合おうと無謀な核開発をしていた小国がその核技術をテロリストに流布してしまい、大国の大都市で連続核テロが起き、お前の国が主導したんだろ、お前らの組織の仕業だろと、大国が他国を罵り合い、なし崩し的に世界大戦がはじまったからで、どの国の核ミサイルが、どの国に落ちたのかいまだ不明な点が多く、歴史学者たちは、光速を越える技術を利用して、昔の地球を観測して、議論をしている。歴史学者が注目するように庶民も、昔の地球の姿を眺め、あの時代、あんなことがあったのかと過去に想いを馳せるツアーは大人気だった。
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