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宇宙開発の祖
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彼は、宇宙開発の祖と呼ばれた実業家だった。民間ではなかなか難しい宇宙開発事業に手を出し、太陽系内の物流大手にのし上がり、遠く太陽系外の外宇宙にまで人類が進出する際にも貢献し、彼が起業した宇宙運輸企業は、政府に口出しできる大企業にまで成長していた。が、彼が宇宙開発事業に手を出したのは、星になりたいという妻の遺言を実行するためで、妻の遺骨を星にするため、地上から星に見えるくらい高くに打ち上げるためだった。ただ、妻の遺骨を宇宙に上げるために宇宙事業に手を出したと言えば、投資家たちに笑われると思い、その事実は、彼の死後もしばらく封印された。彼女の妻の遺骨を入れたカプセルと彼自身の遺骨が入ったカプセルは、地球の衛星軌道上のどこかを漂っているはずで、いずれ地球の重力に引かれて流れ星となって落ちる計算だった。
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