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妊娠報告
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本当に世界は、徐々にひんやりと気温を下げて行った。隕石の直撃は南半球で、津波もあったが、地球の反対だったので日本に到達するまで時間はあった。大都市など、逃げる群衆で交通がマヒした沿岸部の都市じゃなく、田舎に住んでいてよかったと、最初はホッとしていたが、徐々に隕石の衝突で舞い上がった粉塵が厚い雲として空を覆い始め、徐々に気温が下がり、恐竜を滅ぼした氷河期の到来をひんやりした空気に感じていた。
「ちょっと、あんた、なにぼっとしてるの?」
近所を歩き回り、缶詰を集めてきた妻が、ボケっと空を見て絶望感を味わっていた俺を叱咤する。
「この雲、いつかは晴れるんでしょ、見上げてないで、それまで生き残るためにすることがたくさんあるでしょ」
「分かってる。ほら、灯油だって集めてきたさ」
津波の後、雲に覆われ初めて気温が下がると、多くの人が家を捨てて逃げ出していった。もうインターネットやテレビに携帯は使えなくなっていた、避難指示を出してくれる政府もいなくなっていた。もしかしたら、政府のお偉方は、国民を見捨てて、自分たちは安全なシェルターに逃げ込んでいるかもしれない。絶望していてもおかしくはない状況なのだが、それを妻が許さない。
「まだまだ、足りない。最低でも一年以上は耐えられる量がいるでしょ。どっかから、タンクローリーごと持って来なさい。あたし、寒い中で子供産むなんてやだからね」
「子供?」
「あ、言ってなかった? あたし妊娠してるって」
「おいおい、初耳だぞ」
「少しはやる気でた?」
「ああ、出たよ」
恐竜は滅んだが、地球上のすべての生物が死滅したわけではない。
生き残る術はきっとあると、俺はそう無理矢理思い込むことにした。
しかし、このタイミングで聞きたくはなかったと俺は妻に文句を言いたくなったが、妻もこのタイミングで妊娠するとは思っていなかったのだろう。
「ちょっと、あんた、なにぼっとしてるの?」
近所を歩き回り、缶詰を集めてきた妻が、ボケっと空を見て絶望感を味わっていた俺を叱咤する。
「この雲、いつかは晴れるんでしょ、見上げてないで、それまで生き残るためにすることがたくさんあるでしょ」
「分かってる。ほら、灯油だって集めてきたさ」
津波の後、雲に覆われ初めて気温が下がると、多くの人が家を捨てて逃げ出していった。もうインターネットやテレビに携帯は使えなくなっていた、避難指示を出してくれる政府もいなくなっていた。もしかしたら、政府のお偉方は、国民を見捨てて、自分たちは安全なシェルターに逃げ込んでいるかもしれない。絶望していてもおかしくはない状況なのだが、それを妻が許さない。
「まだまだ、足りない。最低でも一年以上は耐えられる量がいるでしょ。どっかから、タンクローリーごと持って来なさい。あたし、寒い中で子供産むなんてやだからね」
「子供?」
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