怪異の忘れ物

わざと忘れ物する

「ねぇ、知ってる。浮気する女って、浮気相手の男の部屋に自分の物を忘れて、わざと奥さんや恋人に見つかるようにするのよ。この男はもう自分の物だって、奥さんや恋人に分からせるためにね」
「ふぅん」
「あなた、バレない様に気をつけてるみたいだけど、あなたの浮気相手も、わざとらしく洗面所で自分の香水のにおいを残してるんだけど」
「こ、香水」
「そうよ、あなたの浮気相手って、嫌な女ね。たっぷり、自分の香水を私たちの家の洗面所に振りまいてったわよ」
「お、おい、待てよ、お前、自分の香水の匂いと間違えてないか？」
「自分の香水と間違えるわけないじゃない、こんな趣味の悪い香り」
「お、おい、怒ってるのか？　浮気とか言っても、一回だけだから」
「一回だから許されると？」
「お、おい、そんなの危ないだろ」
「もう遅いわ。たく、あんな趣味の悪い香水嗅がせて、許されると思ってるの」