怪異の忘れ物

木全伸治

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盗品

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そのお寺では、いわくつきの物を預かって、お清めして処分するということを行っていた。いわくつきの品だから、泥棒するひとがいるとは思わず、お寺は防犯をしっかりしていなかったので、持ち主が不幸になる指輪や、ネックレス、イヤリングなどを、ある日、ごっそりと盗まれた。
もちろん警察に届けたのだが、その盗難の翌日には、近所の奥さんが、旦那さんに連れられて、お寺に慌てて謝罪に来た。なんでも、ご夫婦のお子さんが急に病気になり、ご夫婦のご両親も突然、倒れられて、奥さんが呪われたと発狂して、お寺からいわくつきの品を盗んだことを慌てて夫に白状して、謝罪に来たのだ。一応、ほとんどの品は帰って来たのだが、指輪が一つ、盗んだ奥さんもどこにやったのか分からなくなった品があって、結局、そのご夫婦のお子さんとご両親は亡くなってしまった。事件後、いまだその指輪は見つからず、その夫婦は離婚したが、離婚してからも二人には不幸が続いているという噂だった。
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