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徘徊おばさん
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痴呆が進み、夜中パジャマ姿で徘徊するそのお婆さんのことは近所でも有名だった。介護している家族の方が、夜中に勝手に家を抜け出すお婆ちゃんを探して騒ぎになることが珍しくなかったので、ご近所で夜中にそのお婆ちゃんを見かけても幽霊と勘違いするひとはいなくて、自転車で巡回するお巡りさんが、何度も夜中に見つけて保護することも多かった。だが、その年の夏、それがお婆さんの幽霊が出るという噂となってSNSで拡散されて、県外からその幽霊を見ようとDQNな若者たちがやってきて、彼らは幽霊なんかでビビるかとバットや鉄パイプで武装していた。しかも、徘徊するお婆さんを見て、幽霊退治だと息巻いてその手にしていた凶器でほとんど無抵抗の痴呆老人を撲殺してしまったのだ。そのおばさんが幽霊でないと気づいたのは、おばさんが血まみれになって完全に動かなくなってからだった。
当然、彼らは警察に捕まったが、殺されたおばさんは、自分が死んだという自覚がなく、夏の夜、今も近所を徘徊しているという。
当然、彼らは警察に捕まったが、殺されたおばさんは、自分が死んだという自覚がなく、夏の夜、今も近所を徘徊しているという。
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