怪異の忘れ物

木全伸治

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盛り塩

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学校の通学路の途中にあるその家の軒先には、いつも盛り塩がしてあった。で、ある日、俺は気づいた、その家の二階の窓から、物憂げに外を見ている男の子の姿に。
いつ通っても窓の外を見ているだけで、微動だにしない、なんとなく薄気味悪い子だった。そして、その子の着ている服がいつも同じだと気づいた瞬間、俺は察した。塩は不浄を払う。その家の住人は、家の外から、何か良くないものが来ると思い込み、盛り塩を置いたのだろう。だが、外からくるのではなく、はじめから、その男の子は家の中にいて、家の住民が、盛り塩を置いたので、家の外に出られなくなり、あの世に逝けず、ああして毎日家の外を見ているのだと。
俺は、盛り塩を蹴り飛ばして、その家の住民に気づかれないように逃げた。その家の住民に、あなたたちが盛り塩を置いたせいで、男の子があの世に逝けなくなっていると話しても信じてもらえないと思ったからだ。それに、盛り塩をするということは、中途半端に変な宗教にかぶれている家かもしれない。関わり合いにならず、その男の子を解放するには、盛り塩を蹴っ飛ばしてバックレるのが一番だと思った。
翌日には、盛り塩は奇麗に直されていたけれど、窓から男の子の姿はいなくなっていた。




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