3.11のあった年に

木全伸治

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関ケ原

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関ケ原には、甲冑パフォーマンス軍団関ケ原組という武将隊がいます。関ケ原でおもてなしと、関ケ原の観光PRのため各地でパフォーマンスをおこなっています。東軍西軍双方の武将がいるのですが、中心となっているのが島左近様で、かなり西軍の石田三成びいきの武将隊です。
さて、天下分け目の大戦(おおいくさ)が行われた地として多くの日本人に知られている地、関ケ原ですが、その知名度に比べて、駅前にコンビニはなく、代わりに観光案内所の関ケ原駅前観光交流館はあっても、そこが閉館してしまうと駅前は一気に寂しくなります。
駅前にある観光案内所にはレンタサイクルがあるので、関ケ原に点在する東西各武将の陣跡を効率よくめぐるなら、そのレンタサイクルを借りて、陣跡をめぐるのがいいかと思います。
関ケ原で行われる全陣制覇のウォーキングイベントを利用して陣跡を歩いて巡らさせてもらいました。
脳卒中の後遺症の左足のリハビリには、ただ歩くだけは面白くないので、陣跡を巡るというのは、ここにあの武将が陣を敷いていたのかと考えるとなかなか面白そうだと参加さえていただきました。例えば島津の陣と徳川家康の本陣との位置を歩いて確認することができましたし、小早川秀秋と大谷 吉継の陣の位置関係を自分の目で見ることができました。
 自分、本来、岐阜の関ケ原とは縁がありません。関ケ原に行ったのも、その全陣制覇という面白そうなウォーキングイベントがあると聞いたからで、そのウォーキングイベントのことを聞くまでは、関ヶ原に行きたいと思ったことはありませんでした。
 現在、脳卒中の後遺症で左指が自由に動かず、パソコンを両手で操作できなくなり、なんか色々と絶望して、それでも生きているから、なんかこんな不自由な体でも楽しめるものを探し求めて自分はウォーキングイベントにたどり着き、そうして関ケ原のウォーキングイベントに参加させていただくようになりました。
 ですから、関ケ原について、そんなに偉そうに語れる立場にはないのかもしれません。ですが、こんな者の文章でも、少しでも関ケ原を訪れる人が増えてくれたらいいなと思います。
とにかく、歴史好きで、戦国武将に少しでも興味があるならば、関ケ原は訪れて損はない場所だと思います。
 特に徳川家康が首実検をしたという最後の陣跡は、現在、綺麗に整備されていて、そこから石田三成の陣跡である笹尾山まで楽に歩いて行ける距離にあり、東軍の士気を上げるため家康が本陣を前に出したという逸話を実感することができると思います。あと、徳川家康の本陣跡の位置を確認してから、島津の陣跡を巡ってみると、ああ、この位置から島津は徳川本陣を掠めて関ケ原から撤退したという有名な島津の退き口をやったのか、など、関ケ原の合戦に想いを馳せることができます。

さて、名古屋にも古戦場として有名な桶狭間がありますが、こちらは現在、住宅地としてすっかり整地され、織田信長と今川義元が激突した当時の面影は、残念ながら、かつてこの辺りが山地だったと分かる急な坂道ぐらいしかありません。一応、地元の方々により桶狭間古戦場公園に今川義元と織田信長の銅像がありますが、残念ながら当時をしのばせるような自然は見当たらず、正直それ以外に見どころはありません。
 その点、関ケ原は、その合戦当時と大きく地形を変えておらず、石田三成の陣跡である笹尾山からはその関ケ原が一望でき、ここから西軍を指揮したのかなど、想像力が働きます。鶴翼の陣として有名な西軍の布陣を関ケ原の陣跡を巡って確認し、小早川 秀秋の裏切りから始まる西軍の瓦解など、様々な歴史のノスタルジーに浸れる地だと思います。
 ただ、大きく関ケ原の地形は変わっていなくても、本多忠勝殿の陣跡が住宅に囲まれていたり、藤堂高虎・京極高知陣跡は関ケ原中の中にあったり、島津義弘の陣跡は、他の陣跡に比べて、薩摩の英雄として地元の方が建てた立派な碑があったりと、敵将の首実験をおこなった徳川家康最後の陣地(床几場) は、綺麗に芝が植えられたり、また迷わないように誰それの陣跡まで何メートルと道案内の標識が関ケ原町のあちこちにいくつも立っているので、レンタサイクルを使わず、時間をかけてゆっくりと陣跡を歩いて回るのも面白いかと思います。
 彼岸花の咲く時期に、陣跡を巡るウォーキングイベントがあり、それに参加させていただいときは、まるで関ケ原でなくなった兵を弔うようにあちこちに赤い綺麗な彼岸花が咲いていました。関ケ原は地形が変わるほど宅地化されていないので、自然が多く、田舎の景色を楽しむウォーキングにも最適な地だと思います。

関ケ原は現在、世界三大古戦場として、 天下分け目の舞台となった関ケ原古戦場と、欧州ナポレオン戦争の激戦地「ワーテルロー古戦場(ベルギー王国)」と、アメリカ南北戦争最大の激戦地である「ゲティスバーグ古戦場(アメリカ合衆国)」と三つの古戦場と協力して世界的な知名度を上げようとしています。東京オリンピックやリニア新幹線開通を機に日本に興味のある外国の方が、たくさん関ケ原に訪れるようになるかもしれません。
そうなってくれたら、歴史好き武将好きの自分もうれしいです。
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