ヒーローだって人間です

木全伸治

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ドラゴンスレイヤー

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竜を退治した人間はドラゴンスレイヤーと呼ばれ、英雄視される。だが、人間に迷惑をかけないおとなしい草食の竜も存在する。
その竜は、見た目のごつさから、人間を食べる肉食と勘違いされ、村の人間を食べないように勝手に自分たちで生贄として若い娘を竜の住処である湖に連れてきていた。若い娘を差し出すから、自分たちの村を襲わないでくれということらしいが、草食の竜は、一度もその生贄の娘たちを食べることはなかったが、貪欲な村長は、その村で差し出した生贄の娘をこっそり、人買いに売り渡していた。そうして、遠くの娼館に売られた娘たちは竜に食われたとされ、竜を恐れる村人たちは生贄を差し出すことをやめなかった。
だが、ある日、その人食い竜の噂を聞きつけたという美麗な女剣士が現れて、竜退治を村人に申し出た。危ない危険だ、もし失敗したら、怒った竜が村を襲うかもしれんと村長はもっともらしい理由をつけてその剣士を止めようとしたが、「大丈夫」と言って、一人で竜の住む湖に向かい、その日は、竜の咆哮や戦っているらしい物音が村まで届いた。
そして、静かになった夕刻、無傷の剣士が村に戻ってきて、「竜は退治した」と告げて、証拠に何枚か剥ぎ取った竜の鱗を村の連中に見せた。その後、その女剣士の言う通り、湖の近くに生贄を差し出しても誰も食われず、無事に村に帰ってくることが続き、その生贄の風習は廃れて、村長がちょっとばかり貧乏になった。実は、女剣士は竜が変化したものであり、湖のそばで竜の姿で大きな音を立てて暴れて、村長の家に出入りしていた人買いも竜の姿で襲って、二度と怖くてあの村に近づかぬように脅した。すべて竜の自作自演だったのだが、こんな自作自演をしたのは、生贄の風習をやめさせるだけでなく、村の連中が、自分のことを狂暴なオスの竜と思い込んでいる節があるのが気に入らなかったからだ。いつまでも濡れ衣を着せられ、凶暴なオスと思われるのは不愉快だとこの自作自演を思いついたのだ。
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