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サラリーマンの遊園地
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日常を戦うサラリーマンには、休日があるが、普段できない部屋の掃除とか、新しい服の買い物、冷蔵庫への食品の補充のための買い出しなどしていたら、休日に遊びに行く余裕はない。だから、社会を支えるヒーローのサラリーマンは、大抵、退社後の帰宅までの間に飲み屋によって安酒でストレスを発散させたりする。つまり、退社から帰宅するまでのわずかな時間がサラリーマンの自由時間である。
で、俺はあるとき、接待で親しくなった大会社の社長さんにその地下鉄のことを紹介してもらった。その定期は高いが、どこかのテーマパークに行くよりも、会社帰りにふらりと立ち寄れるのが良かった。今日も、俺は、地下鉄の関係者以外立ち入り禁止というドアを開けて、その駅のホームに来た。東京の地下には何本もの地下鉄の路線があり、昔使われていたが、私鉄の乗り入れや路線の環状化などで使われなくなった古い線路やレンガ造りの駅が存在していた。そこは、その現在使われていない古い線路を利用したものだった。ホームには、駅員、というより、遊園地の係員みたいな恰好をした青年がいた。
俺は、顔なじみになっていたその係員にパスを見せながら声をかけた。
「や、こんばんわ」
「また来たんですか、好きですね」
「まぁね」
「八時発のが、もうすぐきます」
「そう、ありがとう」
俺以外に客はいなさそうだ。今日は貸し切り気分が味わえそうだ。
俺は内心ワクワクしながら、レンガ造りの耐震性に問題のありそうな古い駅のホームで電車を待っていた。
電車が来た。
普通の電車ではない。遊園地のジェットコースターみたいに屋根のない、座席だけの簡素化したそれだった。
「どうぞ」
と係員に促され、一番最前の椅子に座り、座席の安全バーを下ろす。
「ジリジリジリ」
発車を告げるベルがなり、走り出す、古い線路のせいか、怖いくらいに揺れる。しかも、行く先のトンネルもなんか黴臭く、地震が起きたら、生き埋めになりそうな頼りなさを感じる。トンネルの壁に蛍光塗料で宇宙っぽい模様が描かれている。
距離的には一駅分の乗車だったが、崩れそうな古い廃線を走るのは毎回スリルがあって楽しい。誰が運営しているか俺は知らない。噂では、どこかの偉い先生が、昔を懐かしんで古い駅と古い電車を蘇らせようとして、予算や技術的な問題で遊園地のアトラクションみたいな乗り物を走らせるのが精一杯で、限られた人間にだけその区間の定期を売り、秘密クラブ的に運営していると。たまにテレビで見かける芸能人や政治家の先生も見かけることがあるが、ここで見たことは絶対に口外しない、もしネットのような不特定多数にバラしたら、二度と乗れないというのが、ここの制約だった。だから、会社帰り、誰にも内緒で俺はこの地下鉄に乗っていた。
で、俺はあるとき、接待で親しくなった大会社の社長さんにその地下鉄のことを紹介してもらった。その定期は高いが、どこかのテーマパークに行くよりも、会社帰りにふらりと立ち寄れるのが良かった。今日も、俺は、地下鉄の関係者以外立ち入り禁止というドアを開けて、その駅のホームに来た。東京の地下には何本もの地下鉄の路線があり、昔使われていたが、私鉄の乗り入れや路線の環状化などで使われなくなった古い線路やレンガ造りの駅が存在していた。そこは、その現在使われていない古い線路を利用したものだった。ホームには、駅員、というより、遊園地の係員みたいな恰好をした青年がいた。
俺は、顔なじみになっていたその係員にパスを見せながら声をかけた。
「や、こんばんわ」
「また来たんですか、好きですね」
「まぁね」
「八時発のが、もうすぐきます」
「そう、ありがとう」
俺以外に客はいなさそうだ。今日は貸し切り気分が味わえそうだ。
俺は内心ワクワクしながら、レンガ造りの耐震性に問題のありそうな古い駅のホームで電車を待っていた。
電車が来た。
普通の電車ではない。遊園地のジェットコースターみたいに屋根のない、座席だけの簡素化したそれだった。
「どうぞ」
と係員に促され、一番最前の椅子に座り、座席の安全バーを下ろす。
「ジリジリジリ」
発車を告げるベルがなり、走り出す、古い線路のせいか、怖いくらいに揺れる。しかも、行く先のトンネルもなんか黴臭く、地震が起きたら、生き埋めになりそうな頼りなさを感じる。トンネルの壁に蛍光塗料で宇宙っぽい模様が描かれている。
距離的には一駅分の乗車だったが、崩れそうな古い廃線を走るのは毎回スリルがあって楽しい。誰が運営しているか俺は知らない。噂では、どこかの偉い先生が、昔を懐かしんで古い駅と古い電車を蘇らせようとして、予算や技術的な問題で遊園地のアトラクションみたいな乗り物を走らせるのが精一杯で、限られた人間にだけその区間の定期を売り、秘密クラブ的に運営していると。たまにテレビで見かける芸能人や政治家の先生も見かけることがあるが、ここで見たことは絶対に口外しない、もしネットのような不特定多数にバラしたら、二度と乗れないというのが、ここの制約だった。だから、会社帰り、誰にも内緒で俺はこの地下鉄に乗っていた。
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