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隣のエルフ妻
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アパートの隣に引っ越してきたのは、元勇者とその仲間だったエルフの新婚さんだった。引っ越してきた直後に夫婦そろって挨拶に来たが、その時、奥さんのエルフはマスクで顔を隠し、長い耳をかぶったニット帽の中に隠し、たどたどしい日本語で挨拶しただけで、日本人ではないなとは感じたが、エルフとまでは見抜けなかった。元勇者の御主人と出勤する時間が重なったとき、「おはようございます」と顔を合わせれば挨拶する程度の付き合いで、ほとんど外に出ないエルフの奥さんと顔を合わせることは引っ越しのとき以来なかったが、朝、燃えるゴミを出すときに、同じようにゴミ出しに外に出た奥さんと鉢合わせした。そのとき、ちょっとゴミ出しと油断していたのか、長い耳やその人間離れした美しい素顔を俺は見てしまった。
顔を観られたことを夫に報告したのか、その日の夜、俺が仕事から帰ってくると、隣の夫婦が揃ってやってきて、自分たちの正体を明かした。元勇者の御主人は、この世界の人間で、異世界に召喚されて、異世界で勇者として活躍し、魔王を倒し、役目を終えて、この世界に戻って来たが、仲間だったエルフを奥さんとして、この世界に一緒に連れてきてしまったのだと俺にすべて打ち明けてくれた。その上で、奥さんのことを誰にも言わないでほしいと頼まれた。確かに、異世界からエルフが来ているとなれば大騒ぎになるだろうと。俺も元勇者の提案を承諾し、しばらく、平穏な日常が続いた。ずっと部屋の中に閉じ籠っているのは辛いらしく、時々、マスクで顔を隠して、近所のスーパーで、彼女にとっては異世界である、この世界の物を物珍しそうに購入するのを何度か見かけたが、変装して顔を隠している彼女に声を掛けることはなく、目が合ったときだけ会釈した。そうして、平穏な日々が過ぎていたある日、お隣さんに入国管理局の職員がいきなり現れてエルフの奥さんを連れて行った。異世界から来たエルフに、当然ながら国籍はなく、不法滞在の外国人ということで誰かが通報したらしく、俺が夕方仕事から帰ってくると隣の部屋のドアの前で、ご主人が途方に暮れてうずくまっていた。で、事情を聞き、俺は少ないつてを頼って、弁護士事務所に相談に行き、弁護士の先生に事情を話した。
弁護士の先生は半信半疑だったが、拘留中の彼女の面会に付いて行き、その長い耳を観てご主人の話を信じ、異世界の人間にこの世界の法が当てはまるのかなど、様々な面からアプローチし、入管の職員たちも彼女の容姿から、普通の人間ではないと理解できたから、次第に騒ぎが大きくなり、外務省も聞きつけ異世界の情報を得るための要人ということで、彼女に特別在留許可を与え、その代わり、異世界のことを役人どもに懇切丁寧に説明する羽目にはなったが、彼女は解放された。そして、元勇者の夫はこの世界にいたら、エルフの奥さんが人々の好奇の目にさらされると考えて、異世界に戻って行った。二人が異世界に戻って一件落着となったはずだったが、なぜか、その異世界転送に俺も巻き込まれて、異世界で冒険することになるのだが、ま、俺も異世界で勇者の奥さんの知り合いのエルフの美しい奥さんを得たので結果良しだと思うことにした。
顔を観られたことを夫に報告したのか、その日の夜、俺が仕事から帰ってくると、隣の夫婦が揃ってやってきて、自分たちの正体を明かした。元勇者の御主人は、この世界の人間で、異世界に召喚されて、異世界で勇者として活躍し、魔王を倒し、役目を終えて、この世界に戻って来たが、仲間だったエルフを奥さんとして、この世界に一緒に連れてきてしまったのだと俺にすべて打ち明けてくれた。その上で、奥さんのことを誰にも言わないでほしいと頼まれた。確かに、異世界からエルフが来ているとなれば大騒ぎになるだろうと。俺も元勇者の提案を承諾し、しばらく、平穏な日常が続いた。ずっと部屋の中に閉じ籠っているのは辛いらしく、時々、マスクで顔を隠して、近所のスーパーで、彼女にとっては異世界である、この世界の物を物珍しそうに購入するのを何度か見かけたが、変装して顔を隠している彼女に声を掛けることはなく、目が合ったときだけ会釈した。そうして、平穏な日々が過ぎていたある日、お隣さんに入国管理局の職員がいきなり現れてエルフの奥さんを連れて行った。異世界から来たエルフに、当然ながら国籍はなく、不法滞在の外国人ということで誰かが通報したらしく、俺が夕方仕事から帰ってくると隣の部屋のドアの前で、ご主人が途方に暮れてうずくまっていた。で、事情を聞き、俺は少ないつてを頼って、弁護士事務所に相談に行き、弁護士の先生に事情を話した。
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