ヒーローだって人間です

木全伸治

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恒星間移民船

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地球の天然資源の枯渇は、秒読み状態で、地球温暖化ゆえ、海岸線沿いの大都市の多くが海に没した。だから地球に未来はないと政府の偉い連中は判断して、人類は一丸となって新たな新天地を求めるための巨大な恒星間移民船を建造した。
そして、外宇宙への旅に出た。
長い旅だった。その移民船は人類の最先端技術の結晶ではあったが、速度は光速の15パーセント程度で、旅立った時は、みな若さ溢れる健康的な十代の若者ばかりだった乗員も、高齢者が増え、途中で事故死する者も出るような過酷な旅だった。だが、ついに、地球と同じような大きさで、恒星の周りを地球のように公転する惑星にたどり着いた。大気の存在も海の存在も光学観測で確認済みだ。植物らしい緑の茂みも衛星軌道上から見えていた。
現在は、上陸のための最終確認のため、観測ドローンを複数地上に降下させていた。観測ドローンの調査が終わり次第、俺たちは、その惑星に降りるつもりでいた。
「おい、これ、廃墟じゃないか」
「ああ、緑に覆われてるが、大都市の建物のようだ」
ドローンから送られてくるデータを観て俺たちなりに解析してみた。
この星には俺たちがくる以前に文明があり、なんらかの理由で滅亡または、この星を放棄して、いまは知的生物は住んでいない。
海は酸性が強く海藻も一切なく、時々、大気の汚染による酸性の雨が降ることも観測された。汚染された土壌が原因とみられる遺伝子異常の奇怪な生物も発見した。
俺たちは長い旅の果てにこの惑星にたどり着いたが、この惑星は楽園ではないと俺たちは結論付けた。
で、俺たちは議論を重ね、検討を重ねて、第二候補になっていた別の惑星を目指すことに決めた。俺たちの中には妊娠や、赤ん坊を作っていた乗員もいたので、その子たちの未来のために、その星で採取できる物資はできるだけ詰め込み、別の楽園を求めて、その星からさらに旅に出た。
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