ヒーローだって人間です

侵略者

「戦闘は初日だけで、自衛隊もＵＦＯも、もう一週間もにらみ合いじゃない」
「最初の攻撃は偶発的なもので、相手に侵略の意志はないのかもって？　あんた、バカ」
「自衛隊員に犠牲者が出ているのよ、侵略する気がないのに、なんで武器を携帯してるのよ」
「そりゃ、警察官だって拳銃を持ってるけど、向こうは使ったのよ。ただの平和的な使者なら、自分たちに敵意はないと必死になって伝えてくるはず。少なくとも、この一週間じっとして、なんで動かないのか疑問じゃない？」
「とにかく、スクープで世界的に有名になるチャンスだから邪魔しないで」
「は？　彼らは、宇宙で遭難したあんたを連れに来た救助隊ですって？」
「あんたのどこが、宇宙人よ」
「宇宙人に見えないくらい地球人に似ていたから、今日まで無事に生きて来れた？　これで、さよならですって・・・」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、せめて、宇宙人としてインタビューさせなさいよ」
彼がＵＦＯに向かって走っていき、それに気づいたらしいＵＦＯからの光に彼が飲み込まれると、ＵＦＯは、あたしや自衛隊を無視して空に飛び立っていった。