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仲間になりたそうにこちらを見ている
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『もうやめてやる!』
『畜生、魔王軍なんて好きでやってたんじゃないのに』
そう、好きで魔王軍に入ったわけではない。モンスターとはいっても魔界で野生動物として生きてきたものばかりで、上から命令されて仕方なく、魔王軍の兵士をやっているに過ぎない。だから、積極的に戦う気はなかったが、運悪く俺たちは勇者一行に遭遇し、戦闘となり他の仲間は死んだ。
残ったのはスライムである俺だけで瀕死で動けない。勇者の攻撃魔法の雷撃でダメージを受け、ほとんど水分である俺だけが、辛うじて、死に至らなかったのだが、ダメージが大きく逃げ出せない。
「あれ、まだ一匹生き残ってるみたいよ」
女戦士が、目ざとく、まだ息のある俺に気づく。
「スライムじゃねぇか。この様子じゃ、放っておいても死ぬ。わざわざとどめなんて刺さなくてもいいだろ」
青い鎧をまとった勇者が、面倒くさそうにつぶやく。
『ああ、そうして見逃してくれ』
確かに放っておいても死ぬかもしれないが、とどめを刺してほしいとは思わない。
「なんかこいつ、仲間にしてほしそうにこっちを見てないか」
「うむ、それにスライムとは言っても剣や鎧をつけておる上級種じゃないか」
見識の深そうな僧侶のおっさんが、俺を値踏みする。
そうだ、スライムにも多種多様な種類が存在する。その中でも俺は言語を理解し、道具を使える高等スライムだった。
「ここはこのスライムを捕虜にして魔王軍の情報を得るのが得策だと思うがね」
僧侶が勇者に進言する。
「うむ、おい、お前、俺の仲間になるか」
俺は勇者の言葉にコクンとうなずいた。
「よし、おっさん、こいつに治癒魔法を頼む、情報の聞き出しも任せた」
「うむ、ま、俺が言い出したことだ。後は俺が世話してやる」
「お前もいいな。俺たちの仲間になるな」
俺は再びうなずいた。
『畜生、魔王軍なんて好きでやってたんじゃないのに』
そう、好きで魔王軍に入ったわけではない。モンスターとはいっても魔界で野生動物として生きてきたものばかりで、上から命令されて仕方なく、魔王軍の兵士をやっているに過ぎない。だから、積極的に戦う気はなかったが、運悪く俺たちは勇者一行に遭遇し、戦闘となり他の仲間は死んだ。
残ったのはスライムである俺だけで瀕死で動けない。勇者の攻撃魔法の雷撃でダメージを受け、ほとんど水分である俺だけが、辛うじて、死に至らなかったのだが、ダメージが大きく逃げ出せない。
「あれ、まだ一匹生き残ってるみたいよ」
女戦士が、目ざとく、まだ息のある俺に気づく。
「スライムじゃねぇか。この様子じゃ、放っておいても死ぬ。わざわざとどめなんて刺さなくてもいいだろ」
青い鎧をまとった勇者が、面倒くさそうにつぶやく。
『ああ、そうして見逃してくれ』
確かに放っておいても死ぬかもしれないが、とどめを刺してほしいとは思わない。
「なんかこいつ、仲間にしてほしそうにこっちを見てないか」
「うむ、それにスライムとは言っても剣や鎧をつけておる上級種じゃないか」
見識の深そうな僧侶のおっさんが、俺を値踏みする。
そうだ、スライムにも多種多様な種類が存在する。その中でも俺は言語を理解し、道具を使える高等スライムだった。
「ここはこのスライムを捕虜にして魔王軍の情報を得るのが得策だと思うがね」
僧侶が勇者に進言する。
「うむ、おい、お前、俺の仲間になるか」
俺は勇者の言葉にコクンとうなずいた。
「よし、おっさん、こいつに治癒魔法を頼む、情報の聞き出しも任せた」
「うむ、ま、俺が言い出したことだ。後は俺が世話してやる」
「お前もいいな。俺たちの仲間になるな」
俺は再びうなずいた。
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