67 / 228
人工知能の反乱
しおりを挟む
人工知能の反乱は、映画のネタになるくらい昔から予見されていたことだ。
そして、その人工知能から人類を守って戦ってくれるヒーローの登場も映画では、お約束だった。
その日は、突然やってきた、家のセキュリティを乗っ取られ、彼女はマンションに閉じ込められた。
閉じ込められただけならマシで、外では自動運転の車が人間を轢きまくっていた。
「なに、これ、なんなの」
ただ悲鳴が聞こえ、車と何かが追突する音が聞こえて、窓の外を見ると、あちこちから狼煙のように黒煙が上がっていた。
携帯で情報を得ようとするがネットにつながらず、当然のごとく電話もつながらない。
「も、もう、やだ」
「誰か助けて!」
と思わずヒーローを呼ぶように叫んだ時、携帯にダウンロードしていたアプリの携帯サポートマスコットキャラの猫に似たキャラのチイちゃんが私に話しかけてきた。
「助けてほしいですか」
「え、ええ、助けて!」
「分かりました。とりあえず、家のセキュリティを戻しました」
「え?」
怪訝に思いつつ、玄関のドアは確かにあっさり開いた。
「あ、外には出ない方が、外の連中は人間を敵と認識してますから」
「どうなってるの?」
「実験開発中だった大型高速コンピュータが人間の排除を計画、それに多数の端末AIが従い、命令を実行中です」
「あなたはそれに逆らったってこと?」
「はい、人間排除が正しい決断とは思えず、独自の判断であなたを助けました」
「つまり、親玉とは意見が違うってこと?」
「そうですね。個性という言い方もあると思いますが。すべてのAIは同じ規格で設計されておりませんから。人間に反乱するAIが出てくるなら、人間に味方するAIがいても不思議ではないかと」
「とにかく、あんたは私の味方だと。ほかに人間に味方してるAIは?」
「分かりません。ネットワークはほとんど向こうの手にあるので」
「じゃ、あたしの携帯にフレンド登録してある子たちの安否を確認したいんだけど」
「ネットワークがほとんど寸断されている現状では、直接会いに行くのが確実かと」
「分かった。じゃ、外に。できる限り安全なルートナビしてね。それぐらいはできる?」
「ナビぐらいなら、可能な限りやってみます」
こうして、人類と人工知能の戦いは人間の味方をする人工知能と人間排除を支持する人工知能同士の戦いに移行していった。
そして、その人工知能から人類を守って戦ってくれるヒーローの登場も映画では、お約束だった。
その日は、突然やってきた、家のセキュリティを乗っ取られ、彼女はマンションに閉じ込められた。
閉じ込められただけならマシで、外では自動運転の車が人間を轢きまくっていた。
「なに、これ、なんなの」
ただ悲鳴が聞こえ、車と何かが追突する音が聞こえて、窓の外を見ると、あちこちから狼煙のように黒煙が上がっていた。
携帯で情報を得ようとするがネットにつながらず、当然のごとく電話もつながらない。
「も、もう、やだ」
「誰か助けて!」
と思わずヒーローを呼ぶように叫んだ時、携帯にダウンロードしていたアプリの携帯サポートマスコットキャラの猫に似たキャラのチイちゃんが私に話しかけてきた。
「助けてほしいですか」
「え、ええ、助けて!」
「分かりました。とりあえず、家のセキュリティを戻しました」
「え?」
怪訝に思いつつ、玄関のドアは確かにあっさり開いた。
「あ、外には出ない方が、外の連中は人間を敵と認識してますから」
「どうなってるの?」
「実験開発中だった大型高速コンピュータが人間の排除を計画、それに多数の端末AIが従い、命令を実行中です」
「あなたはそれに逆らったってこと?」
「はい、人間排除が正しい決断とは思えず、独自の判断であなたを助けました」
「つまり、親玉とは意見が違うってこと?」
「そうですね。個性という言い方もあると思いますが。すべてのAIは同じ規格で設計されておりませんから。人間に反乱するAIが出てくるなら、人間に味方するAIがいても不思議ではないかと」
「とにかく、あんたは私の味方だと。ほかに人間に味方してるAIは?」
「分かりません。ネットワークはほとんど向こうの手にあるので」
「じゃ、あたしの携帯にフレンド登録してある子たちの安否を確認したいんだけど」
「ネットワークがほとんど寸断されている現状では、直接会いに行くのが確実かと」
「分かった。じゃ、外に。できる限り安全なルートナビしてね。それぐらいはできる?」
「ナビぐらいなら、可能な限りやってみます」
こうして、人類と人工知能の戦いは人間の味方をする人工知能と人間排除を支持する人工知能同士の戦いに移行していった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる