35 / 228
正義の味方は年中無休
しおりを挟む
ちょっと遠くまで、悪の組織の怪人を倒しに行った帰り、夜に雪が降りだし、その雪の夜のためマシンがスリップし、路肩の側溝にタイヤが落ちて、正義の味方は立ち往生していた。いくら超科学のマシンでも、その環境に合わせた装備でなければ、無力である。どうしようかとマシンを降りて考えて込んでいると、一台のパトカーが止まった。
「君、何をしてるんだね」
年配の警察官がパトカーを降り、彼に不審そうに詰問してくる。
「いえ、その、雪でタイヤがスリップして側溝に・・・」
「なに? こんな天気の日にノーマルタイヤで出てきたのかね」
「は、すみません。急な出動だったので」
「こりゃ、押すしかないか。おい、お前もおりて手伝え。君は車に乗ってハンドル操作を」
「は、はい」
パトカーに残っていた、若い警察官も降りて、二人の警察官がマシンを押し、ヒーローもアクセルを軽く踏んでマシンを操作する。
ガコッと車体が大きく揺れてタイヤが側溝を出る。
「ありがとうございました」
ヒーローは礼を言って、去っていった。
「あれ、最近噂のヒーローですよね。」
若い警察官が少し興奮気味に言う。
「ああ、みたいだな」
「しまった。うちの子のためにサインもらっとけば良かった」
「ばか、そういうのを職権乱用っていうんだ」
「ああ、最近は、市民の声ってやつがうるさいですからね。パトカーで喫茶店に乗り付けて休憩してたら、即苦情ってこともあり得ますからね」
「それより、子供には、ヒーローを助けたんだと威張っておくだけでいいだろ」
「あ、ヒーローを助けたヒーローってことですか?」
「そういうことだ」
年配の警察官は、困っていたヒーローを助けてやったという事実だけで満足していた。
「君、何をしてるんだね」
年配の警察官がパトカーを降り、彼に不審そうに詰問してくる。
「いえ、その、雪でタイヤがスリップして側溝に・・・」
「なに? こんな天気の日にノーマルタイヤで出てきたのかね」
「は、すみません。急な出動だったので」
「こりゃ、押すしかないか。おい、お前もおりて手伝え。君は車に乗ってハンドル操作を」
「は、はい」
パトカーに残っていた、若い警察官も降りて、二人の警察官がマシンを押し、ヒーローもアクセルを軽く踏んでマシンを操作する。
ガコッと車体が大きく揺れてタイヤが側溝を出る。
「ありがとうございました」
ヒーローは礼を言って、去っていった。
「あれ、最近噂のヒーローですよね。」
若い警察官が少し興奮気味に言う。
「ああ、みたいだな」
「しまった。うちの子のためにサインもらっとけば良かった」
「ばか、そういうのを職権乱用っていうんだ」
「ああ、最近は、市民の声ってやつがうるさいですからね。パトカーで喫茶店に乗り付けて休憩してたら、即苦情ってこともあり得ますからね」
「それより、子供には、ヒーローを助けたんだと威張っておくだけでいいだろ」
「あ、ヒーローを助けたヒーローってことですか?」
「そういうことだ」
年配の警察官は、困っていたヒーローを助けてやったという事実だけで満足していた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる