ヒーローだって人間です

木全伸治

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写真集

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何とか無事に敵を倒し、基地に戻ってホッとする。
「なんか今日は、敵の女幹部にしつこく攻撃を受けてたな、なにがあった?」
リーダー格のレッドが、ピンクを気遣うように尋ねる。
「あのオバサン、私が、写真集を出したの、知ってて、『いっそ、ヌード写真集出したら』とか、『写真集の次は、AVかしら』とか、色々うるさくて。たぶん、あのオバサン自分が写真集を出せる歳じゃないから、嫉妬してたと思う」
「なるほど。嫉妬ゆえの攻撃か」
「けど、これ、乳首出してないけど、結構きわどくない」
ピンクの写真集を取り出して、ブルーがぺらぺらとめり、グリーンが横から覗く。
「うわ、エロッ」
ピンクはバッと自分の写真集を奪い取り、仲間たちに言う。
「あんたたちも、なんか稼げることしなさいよ。正義の味方なんて、職業じゃなくて、ボランティアみたいなものなんだから」
そう、正義の味方という職業は存在しないし、いくら敵の怪人を倒しても、もうからないというのが現実である。
「おいおい、おれたちも、写真集出せってか?」
「別に写真集じゃなくても、就職でもしたら?海の向こうじゃ、新聞記者やりながら正義の味方とか、実業家の顔の裏で正義の味方をやったりしてるみたいだし」
「そうだな、一理ある」
リーダーのレッドが納得するように頷く。が、正義の味方のスキルは、一般的に公にできるものではないし、就職面接で、今まで悪と戦っていましたと正直に言い、敵が現れたら上司に断って職場を離れて戦いに行けるだろうか。結局、ピンクが写真集を出すのが精一杯で、彼らは無職のまま敵と戦い続けた。
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