ヒーローだって人間です

悪の幹部の苦悩

正義の味方と対立するとある悪の軍団の四天王は、秘密基地の作戦会議室で、顔をしかめ合っていた。
「なぜ、毎回、怪人は一体しか出撃できんのだ」
「そうそう、一体では、必ず、五対一で数的な不利は明白」
「怪人の製造プラントの都合で大量生産できぬという話だが」
「ならば、一か月ほど出撃を我慢すればよかろう。一か月もあれば、怪人を四体くらいは用意できるはず。今のままでは、ただの消耗戦だ」
「それと、所詮、ヒーローは陸戦部隊、飛行タイプの怪人を開発量産すれば勝利は造作もないはず」
「ま、ようするに、一週間に一度の出撃という縛りをなくし、もう少し我らに作戦準備の時間が欲しいというところですな」
「左様、急いては事を仕損じるという言葉通りですな」
「怪人は無理でも、せめて、戦闘員たちの装備は強化してやりたいものですな」
「うむ、あんな貧弱な装備では、みすみすやられに出すようなものだ」
「だめもとで、総統に進言してみるか」
「しかし、スポンサーとかいう上位組織からの無理難題で総統も苦労しておられる様子」
「うむ、そのスポンサーからの命令でやられた怪人を再生して使いまわせという指示も昔は頻繁にあったと聞く」
「総統も、ああ見えて、気苦労が多いからな」
「現状、少ない戦力でやりくりするしかないと」
悪の四天王は、ただただため息を繰り返した。