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ヒーローは卑怯者
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子供のころ見たヒーローショウで、周りの子供たちみたいに私はヒーローを応援できなかった。一対一ではなく、5対一で、ちょうど、クラスで、いじめっ子が友達とともに一人をいじめている光景と重なったので、みんながヒーローを熱心に応援している中で、わたしだけが、ヒーローの姿が卑怯者に見えて、ひとりうつむいて泣いていた。母は、ヒーローショウの怪人が怖くて泣いたと思ったらしく、慌ててヒーローショウ会場から私を連れ出した。あの時、背後から聞こえた怪人がやられる叫び声と爆発音が、私の耳に残り余計に悲しくさせた。
その時の体験から、私は戦隊もののヒーローが大嫌いになり、そのまま大人になり、悪の組織に就職した。鬼経理と言われるほど、私は経理主任として厳しく働いた。悪の組織にだって予算はある。私とて、潤沢な資金があるのなら派手な活動を承認したい。だが、どうしても近場の遊園地や廃工場までの交通費が精一杯で、毎回ど派手な必殺技をぶちかましてくるヒーロー相手にジリ貧なのは分かっていた。だが、それでも、私は何とかやりくりして、一年、悪の組織を持ちこたえさせた。
その時の体験から、私は戦隊もののヒーローが大嫌いになり、そのまま大人になり、悪の組織に就職した。鬼経理と言われるほど、私は経理主任として厳しく働いた。悪の組織にだって予算はある。私とて、潤沢な資金があるのなら派手な活動を承認したい。だが、どうしても近場の遊園地や廃工場までの交通費が精一杯で、毎回ど派手な必殺技をぶちかましてくるヒーロー相手にジリ貧なのは分かっていた。だが、それでも、私は何とかやりくりして、一年、悪の組織を持ちこたえさせた。
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