勇者(ヒーロー)、がんばる

異世界救世主

今年の夏休み、異世界に行って異世界を救うというとんでもない、ひと夏の経験をした。たぶん、一生忘れられないひと夏の思い出として俺の心に残るだろう。が、両親や警察には、行方不明の間、異世界に飛ばされていたと正直に話したのだが、「はぁ？」という顔をされて、精神科の病院に入院させられそうになったので、異世界の話はすぐにやめて、良く覚えていないと誤魔化すことにした。夏休み明けの新学期には俺のことが学校で噂になっていたが、記憶にないで通すことにした。一応、ネットで匿名で俺は異世界を救ってきたと本当のことを書き込んでみたが、ネットの連中は、「中二？　頭大丈夫」と辛らつなコメントをしてきて、ネットでも、すぐ異世界の話をやめた。
このひと夏の経験が、役に立つのは、異界の門が開き想像上のモンスターたちが暴れ回る数年先だった。その時は、両親も警察もネットも誰も俺のことを頭がおかしいとは思わなかった。