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変態
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正義の味方は悪を痛めつける。それがヒーローとしての当然の使命だった。だから、その悪の女幹部とも真正面から戦った。だが、敵はこちらの攻撃に痛がるどころか、逆に躱そうとせず自分から突っ込んできた。相打ち狙いかと警戒したが、殴られ蹴られても「もっと、もっと」と薄ら笑いを浮かべながら迫って来るのを観て、俺は恐怖した。こいつは、やばいと。痛みを快楽と感じて、平然と近づいてくるのだ、異常さを感じない方がおかしい。
世の中には、苦痛を快感に感じる変態が実在する。そういう類の変態だと察した俺は、この日、初めて敵に背を向けて逃げ出した。かっこ悪いのは分かっている。ヒーローらしくない行動だというのも承知している。だが、蹴られても殴られても、逆に「もっと」と迫られるのは、本当に恐怖だった。攻撃が効かないどころか、喜んで、向かってくる様は、本当に恐ろしく、遠くへ逃げなければ、こちらがおかしくなりそうだった。
痛みを感じずひるまずに迫ってくるなど、どう対処すればいい。恐ろしい敵だった。だから、背を向けて初めて敗走した。しかも、こちらの攻撃がよほど気に入ったのか、まるでストーカーのように自分からやられるためにヒーローの前に姿を現した。ヒーローである以上、悪とは戦わなければならないが、それは、彼女を喜ばすだけで、次第にヒーローの方がうんざりしてきて、遠く、ヒーローなんて誰も知らない遠くの地へ逃げてしまって、そのため悪の組織が世界を支配した。が、自分を痛めつけてくれる敵がいなくなったので、悪の女幹部は組織を裏切り、共倒れになるような反乱を起こし、世界に平和が戻った。
世の中には、苦痛を快感に感じる変態が実在する。そういう類の変態だと察した俺は、この日、初めて敵に背を向けて逃げ出した。かっこ悪いのは分かっている。ヒーローらしくない行動だというのも承知している。だが、蹴られても殴られても、逆に「もっと」と迫られるのは、本当に恐怖だった。攻撃が効かないどころか、喜んで、向かってくる様は、本当に恐ろしく、遠くへ逃げなければ、こちらがおかしくなりそうだった。
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