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百人目のヒーロー
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百人目のヒーローと言えば聞こえはいいが、言葉を変えると百番目の補欠であった。ヒーローは激務であり、いつ負傷するか分からない、敵が、こちらの傷が癒えるのを待ってくれるはずもなく、そのために予備が用意された。正直、百人も補欠がいるのだから、自分までレギュラーが回ってくることはないと思っていたが、そんな俺にも出動命令が出た。急いで現場に来てみると俺の着ている戦闘スーツと同型タイプを着たヒーローが、何人も無様に地面に倒れていた。
「お、来たな、新入り」
先に来ていて戦っていた先輩が、増援としてきた俺に気さくに声を掛ける。
「あ、あの・・・生き残りは?」
「ツイてるな、俺とお前だけだ。つまり、俺たちが、今ヒーローってわけだ」
「は、はぁ、しかし、あれ、怪人というより、怪獣じゃ、ロボを呼んだ方が・・・」
「まぁ、そうだが、今ロボを呼ぶ手続き中だ。しばらく己の身体で何とかするしかない」
「はぁ・・・」
後で知ったことだが、巨大ヒーローロボは強力な兵器だが、同時に、出撃すると町や施設に多大な被害が出るので、なるべく出撃は控えてくれと政府とか関係各所から要望が出ているそうだ。ま、あんなでかい脚、振り回したら、足元のアスファルトがめくれて民家なんか簡単に吹き飛ぶだろうし、敵を市街地で撃破するだけでもその爆発の余波で周辺の建物に被害が出るのは理解できる。だからと言って、こうもヒーロー側に犠牲者が出ているのに、巨大ロボを使えないとは。
「でも、ロボの、一踏みで片が付くと思いますが」
「上も分かってるさ、だから、予備のきみまで出撃させて、生身じゃ限界アピールして、政府を説得してる最中じゃないか?」
「じゃ、俺は時間稼ぎで出撃ですか」
「ヒーローが文句を言わない。それに、俺たち以外全員負傷だ、しばらく、俺たちが本物のヒーローをやることになるだろう。これはチャンスだと思え」
先輩の言うことにも一理ある。出番のない、百番目の補欠ヒーローのままで終わるより、ここを耐えて、レギュラーで、これから活躍というのも悪くない。
補欠のままで終わりたいと思う人間がいるだろうか、いや、いない。
だから、戦ったが、ロボ出撃の承認が出た時には、俺も先輩もボロボロで敵にやられる寸前だった。
「クッ・・・」
そこに見たことない新型スーツを着たニューヒーローが現れて、俺たちが苦戦した敵をあっさり倒して去っていった。
そして、補欠の俺がレギャラーとして活躍することなく、その急に現れた新型スーツの新しいヒーローが、新しいレギュラーとして敵と戦い始めた。
「お、来たな、新入り」
先に来ていて戦っていた先輩が、増援としてきた俺に気さくに声を掛ける。
「あ、あの・・・生き残りは?」
「ツイてるな、俺とお前だけだ。つまり、俺たちが、今ヒーローってわけだ」
「は、はぁ、しかし、あれ、怪人というより、怪獣じゃ、ロボを呼んだ方が・・・」
「まぁ、そうだが、今ロボを呼ぶ手続き中だ。しばらく己の身体で何とかするしかない」
「はぁ・・・」
後で知ったことだが、巨大ヒーローロボは強力な兵器だが、同時に、出撃すると町や施設に多大な被害が出るので、なるべく出撃は控えてくれと政府とか関係各所から要望が出ているそうだ。ま、あんなでかい脚、振り回したら、足元のアスファルトがめくれて民家なんか簡単に吹き飛ぶだろうし、敵を市街地で撃破するだけでもその爆発の余波で周辺の建物に被害が出るのは理解できる。だからと言って、こうもヒーロー側に犠牲者が出ているのに、巨大ロボを使えないとは。
「でも、ロボの、一踏みで片が付くと思いますが」
「上も分かってるさ、だから、予備のきみまで出撃させて、生身じゃ限界アピールして、政府を説得してる最中じゃないか?」
「じゃ、俺は時間稼ぎで出撃ですか」
「ヒーローが文句を言わない。それに、俺たち以外全員負傷だ、しばらく、俺たちが本物のヒーローをやることになるだろう。これはチャンスだと思え」
先輩の言うことにも一理ある。出番のない、百番目の補欠ヒーローのままで終わるより、ここを耐えて、レギュラーで、これから活躍というのも悪くない。
補欠のままで終わりたいと思う人間がいるだろうか、いや、いない。
だから、戦ったが、ロボ出撃の承認が出た時には、俺も先輩もボロボロで敵にやられる寸前だった。
「クッ・・・」
そこに見たことない新型スーツを着たニューヒーローが現れて、俺たちが苦戦した敵をあっさり倒して去っていった。
そして、補欠の俺がレギャラーとして活躍することなく、その急に現れた新型スーツの新しいヒーローが、新しいレギュラーとして敵と戦い始めた。
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