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レッドの裏切り
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俺は仲間であるはずのブルーやイエローに向けて銃を撃ち、敵総統を庇った。
「な、なにを?」
助けられた総統も首を捻っていた。俺だって、本当は、今日まで戦い続けた敵の頭を助けたくはなかった。
「お前らの金庫はどこだ?」
「金庫?」
「お前らの軍資金の隠し場所だ。ゴールドの狙いは、お前らの金だ」
「なに?」
総統はブルーたちと一緒にいる金ぴかの派手な戦闘服の戦士をちらりと見た。
「あれは、お前らの仲間じゃないのか?」
あのゴールドの戦士の登場により、悪の組織は大ダメージを受けて、ついには、拠点であるこの秘密基地まで攻め込まれていた。だから、総統は敗北も覚悟していたのだが、そこを敵であるはずのレッドに助けられて正直、困惑していた。
「あいつは、つい最近ふらりと現れて、俺たちを助けて正義の味方面して俺たちを騙してた悪党だ。奴の目的は正義なんかじゃない、俺たちを利用してお前らの金を奪うことだったんだ。で、お前らの金庫は?」
「こ、こっちだ」
俺は仲間たちを牽制しつつ総統の後に続いて後退した。
「ここだ。この扉の奥に我らの軍資金がある」
「そうか。なら、ここで張ってれば奴が来るな。あいつ、俺の仲間を騙して利用してるから、ここには金を取りに一人で来るはずだ。そこを仕留める」
「あのゴールドは、ヒーローではなく、金目的に何でもする悪党という認識でいいのだな」
事情を理解してきた総統が、レッドに確認する。
「ああ、そうだ、俺以外の仲間は、まんまと奴の言いなりになってこのアジトを襲撃した。お前らの軍資金狙いだと知らずに」
「仲間に説明しなかったのか」
総統が最もな疑問を口にした。
「あいつには、何度か危ないところを助けられて、他の奴らは信頼しきってた」
「なるほど、相手の方が狡猾というわけか。しかし、私たちを潰すのがお前たちの悲願だったのだろ、儂を助けて、よいのか?」
「正義の味方が、金目当てに悪の組織を潰したなんて、これまでの先輩たちの戦いに泥を塗るようなものだ。そんなヒーローを、子供たちが応援してくれると思うか?」
「ヒーローの信念というやつか」
「そういうことだ。正々堂々正義のために戦うから子供たちは俺たちの活躍に目を輝かせる。そうだろ?」
「このわしに同意を求められても困る」
総統が苦笑する。
「ま、待ってくれ、何もレッドを殺さなくても」
イエローの声が聞こえてきた。
「あれは、我々を裏切り、敵を逃がした。悪として断罪する」
ゴールドの声とともに、バシュッとレーザーソードで何かを斬る音がした。
「キャー!」
「お、おい、あんた,何をするっ!」
「何しやがる!」
ピンクの悲鳴と、ブルーとグリーンの激昂する声が重なった。
「貴様らはもう用済みだ」
ビシュバシュとレーザーソードが唸る音が響き、急に静かになった。
やられた、仲間たちがゴールドにやられたとレッドは確信した。
光るレーザーソードを手にしたゴールドが、金庫室前に一人で現れる。
「き、貴様!」
感情を抑えきれず、レッドは引き金を引き続けた。だが、怪人を貫く強力なエネルギー弾は金色の装甲にはじかれた。
「無駄だ。お前たちの装備では、これまで悪の組織から奪った金で強化したこのスーツには勝てん」
「う、うぉぉぉぉ、この、ク、クソおやじ、が、仲間の仇、死ねや・・・」
無駄だと言われてもレッドはゴールドに突っ込んでいき、一刀で切り伏せられた。
さすがの悪の総統も予想外の展開に呆然とするしかなかった。
「な・・・」
「私の邪魔をするなら、貴様も殺すぞ」
ゴールドが、実の息子だったレッドを殺したレーザーソードをちらつかせる。
「金目当てだというのは、本当のようだな。なら、持っていくがいい。戦隊を皆殺しにするような化け物の相手を儂一人でする気は・・・」
総統は情けなく怯えたふりをして、脅威ではない弱者アピールをして、ゴールドの視線を気にしつつ、その装置に近づいた。ゴールドは敗北者には興味ないという感じで金庫室のドアをレーザーソードで易々と切り裂いて中に入って行った。悪の組織のオーバーテクノロジーをもとに稼いだ軍資金は、百億は下らない。それぐらいの資金がなければ、超人的な化け物である怪人は生み出せない。
ゴールドが、その金庫の中の金に注意が向いている隙に総統は基地を跡形もなく吹き飛ばす自爆スイッチを押し、秘密通路から逃げ出した。本来は万が一ヒーローに攻め込まれて追い詰められたとき、基地を犠牲にヒーロー抹殺を狙った仕掛けだったが、うまくゴールドを基地ごと爆殺して、組織を一から立て直すことになったが、強敵である戦隊のいない地球支配など、造作もなかった。
「な、なにを?」
助けられた総統も首を捻っていた。俺だって、本当は、今日まで戦い続けた敵の頭を助けたくはなかった。
「お前らの金庫はどこだ?」
「金庫?」
「お前らの軍資金の隠し場所だ。ゴールドの狙いは、お前らの金だ」
「なに?」
総統はブルーたちと一緒にいる金ぴかの派手な戦闘服の戦士をちらりと見た。
「あれは、お前らの仲間じゃないのか?」
あのゴールドの戦士の登場により、悪の組織は大ダメージを受けて、ついには、拠点であるこの秘密基地まで攻め込まれていた。だから、総統は敗北も覚悟していたのだが、そこを敵であるはずのレッドに助けられて正直、困惑していた。
「あいつは、つい最近ふらりと現れて、俺たちを助けて正義の味方面して俺たちを騙してた悪党だ。奴の目的は正義なんかじゃない、俺たちを利用してお前らの金を奪うことだったんだ。で、お前らの金庫は?」
「こ、こっちだ」
俺は仲間たちを牽制しつつ総統の後に続いて後退した。
「ここだ。この扉の奥に我らの軍資金がある」
「そうか。なら、ここで張ってれば奴が来るな。あいつ、俺の仲間を騙して利用してるから、ここには金を取りに一人で来るはずだ。そこを仕留める」
「あのゴールドは、ヒーローではなく、金目的に何でもする悪党という認識でいいのだな」
事情を理解してきた総統が、レッドに確認する。
「ああ、そうだ、俺以外の仲間は、まんまと奴の言いなりになってこのアジトを襲撃した。お前らの軍資金狙いだと知らずに」
「仲間に説明しなかったのか」
総統が最もな疑問を口にした。
「あいつには、何度か危ないところを助けられて、他の奴らは信頼しきってた」
「なるほど、相手の方が狡猾というわけか。しかし、私たちを潰すのがお前たちの悲願だったのだろ、儂を助けて、よいのか?」
「正義の味方が、金目当てに悪の組織を潰したなんて、これまでの先輩たちの戦いに泥を塗るようなものだ。そんなヒーローを、子供たちが応援してくれると思うか?」
「ヒーローの信念というやつか」
「そういうことだ。正々堂々正義のために戦うから子供たちは俺たちの活躍に目を輝かせる。そうだろ?」
「このわしに同意を求められても困る」
総統が苦笑する。
「ま、待ってくれ、何もレッドを殺さなくても」
イエローの声が聞こえてきた。
「あれは、我々を裏切り、敵を逃がした。悪として断罪する」
ゴールドの声とともに、バシュッとレーザーソードで何かを斬る音がした。
「キャー!」
「お、おい、あんた,何をするっ!」
「何しやがる!」
ピンクの悲鳴と、ブルーとグリーンの激昂する声が重なった。
「貴様らはもう用済みだ」
ビシュバシュとレーザーソードが唸る音が響き、急に静かになった。
やられた、仲間たちがゴールドにやられたとレッドは確信した。
光るレーザーソードを手にしたゴールドが、金庫室前に一人で現れる。
「き、貴様!」
感情を抑えきれず、レッドは引き金を引き続けた。だが、怪人を貫く強力なエネルギー弾は金色の装甲にはじかれた。
「無駄だ。お前たちの装備では、これまで悪の組織から奪った金で強化したこのスーツには勝てん」
「う、うぉぉぉぉ、この、ク、クソおやじ、が、仲間の仇、死ねや・・・」
無駄だと言われてもレッドはゴールドに突っ込んでいき、一刀で切り伏せられた。
さすがの悪の総統も予想外の展開に呆然とするしかなかった。
「な・・・」
「私の邪魔をするなら、貴様も殺すぞ」
ゴールドが、実の息子だったレッドを殺したレーザーソードをちらつかせる。
「金目当てだというのは、本当のようだな。なら、持っていくがいい。戦隊を皆殺しにするような化け物の相手を儂一人でする気は・・・」
総統は情けなく怯えたふりをして、脅威ではない弱者アピールをして、ゴールドの視線を気にしつつ、その装置に近づいた。ゴールドは敗北者には興味ないという感じで金庫室のドアをレーザーソードで易々と切り裂いて中に入って行った。悪の組織のオーバーテクノロジーをもとに稼いだ軍資金は、百億は下らない。それぐらいの資金がなければ、超人的な化け物である怪人は生み出せない。
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