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人間界と魔界を繋ぐ門
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コボルトはヒョロリとした小柄な種族で、とても強そうには見えなかった。だが、小さな弱い魚が群れるように彼らも群れて、その王の命令の下、蟻のようにテキパキと動いていた。木の上に見張り小屋を作ったりして、人間の襲来に備えていた。森の所々に落とし穴も掘っているそうだ。
そして、彼らの王は、新魔王である俺の人間との戦いに協力してくれという要請を快く引き受けてくれた。
「先代の魔王様の時は、こちらがお手伝いする前に魔王城が落ちてしまって、王女様には、大変申し訳ありませんでした」
彼は王女に頭を下げた、盟友だった前魔王の死に責任を感じているらしい。別に罪滅ぼしでも構わない。俺に手を貸してくれるのならそれで文句はない。
「とにかく、魔界の安寧のため手を貸して欲しい。よろしく頼む」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
「では」
俺は触手を伸ばして、コボルトの王はその触手を握った。
とにかく、コボルトの王とは友好的な盟約を結び、これから協力してもらうこととなった。
その夜、王女様とコボルトの王が昔話に華を咲かせる宴が行われたが、それが済むと翌朝、俺たちはすぐ魔王城に引き返すことにした。コボルトたちには、自分たちの住む森だけでなく、その森の周辺も人間が好き勝手に動き回らなように目を光らせてもらことにした。人間どもとの決戦の折には、コボルトの大軍を貸してくれることも決まった。
それだけを決めて、俺たちは魔王城に戻った。そして、俺は魔王城の城壁の上から東の方にある人間界と魔界を繋ぐ門をチートの目で見つめていた。
「アレが、ゲートか」
人間たちが木の柵や土塁で門の周りにちょっとした防御陣を築いているのが分かる。幸い、自衛隊のようなオーバースキルを持った部隊はいないようだ。
人狼たちの偵察でも人間たちの魔界遠征軍は、現在、あそこに集結し、戦力を整えているらしいと聞いていた。
だが、勇者一行以外に魔法使いがいるのかとか、あの小さな軍師や勇者一行が現在、魔界のどこにいるかは外からの偵察では分からなかった。
「仕掛けてみるか」
外から見て分からないのなら。ちょっかいを出すしかないかと俺は考えた。
なぜ、政治や戦争に諜報活動が重要なのか、思い知らされる気分だ。
「陛下、何をお悩みで。ようやく、誰を妃にするか決めたの?」
蝙蝠の羽を翻して、城壁の上で考え事をしていた俺の元へ吸血鬼の姫が元気に舞い降りてきた。
「いや、敵の詳しい戦力を知りたくてね」
「ああ、門にたむろしてる奴らのこと? そうね、確かに鬱陶しいわね。いっそ、突っ込んでみる。そうすれば、敵の出方とか分かるんじゃない」
「やはり、威力偵察が、いるか」
姫と考え方が一致したので、俺は思わずつぶやいた。
「威力偵察って、なに?」
姫様は、そういう単語があることも知らずに提案したようだ。
「ちょっと敵を刺激して、敵の出方から相手の戦力を調べる方法さ、まさに姫様が言った通りのことだよ。いい案だ」
やるだけの価値はあるだろうと思う。
「いっそ、一気に潰さない?」
魔界の考え方では、姑息な戦略よりも、一気に決着というのが正しいのかもしれない。姫様も、どっちでもいい感じだった。
「いや、勇者たちの動向も気になる。あまり無駄な血は流したくない」
人間を殺し過ぎて、禍根を残せば、将来、再び、人間どもが再び大軍で押し寄せてくるかもしれない。その時は、勇者のような存在が、たくさん増えているかもしれない。
「とにかく、ジッとしていても、埒が明かないだろうから、門に行くよ」
魔王城に留まっていても、人間が自分たちの世界に帰る様子は見えない。
門に戦力を集中させて、必要最低限の兵力だけを残して、大部分はもう撤退しているかもしれない。
それを知るためにも、門に近付き、威力偵察は必要だろう。
そう俺は魔王として決断した。
そして、彼らの王は、新魔王である俺の人間との戦いに協力してくれという要請を快く引き受けてくれた。
「先代の魔王様の時は、こちらがお手伝いする前に魔王城が落ちてしまって、王女様には、大変申し訳ありませんでした」
彼は王女に頭を下げた、盟友だった前魔王の死に責任を感じているらしい。別に罪滅ぼしでも構わない。俺に手を貸してくれるのならそれで文句はない。
「とにかく、魔界の安寧のため手を貸して欲しい。よろしく頼む」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
「では」
俺は触手を伸ばして、コボルトの王はその触手を握った。
とにかく、コボルトの王とは友好的な盟約を結び、これから協力してもらうこととなった。
その夜、王女様とコボルトの王が昔話に華を咲かせる宴が行われたが、それが済むと翌朝、俺たちはすぐ魔王城に引き返すことにした。コボルトたちには、自分たちの住む森だけでなく、その森の周辺も人間が好き勝手に動き回らなように目を光らせてもらことにした。人間どもとの決戦の折には、コボルトの大軍を貸してくれることも決まった。
それだけを決めて、俺たちは魔王城に戻った。そして、俺は魔王城の城壁の上から東の方にある人間界と魔界を繋ぐ門をチートの目で見つめていた。
「アレが、ゲートか」
人間たちが木の柵や土塁で門の周りにちょっとした防御陣を築いているのが分かる。幸い、自衛隊のようなオーバースキルを持った部隊はいないようだ。
人狼たちの偵察でも人間たちの魔界遠征軍は、現在、あそこに集結し、戦力を整えているらしいと聞いていた。
だが、勇者一行以外に魔法使いがいるのかとか、あの小さな軍師や勇者一行が現在、魔界のどこにいるかは外からの偵察では分からなかった。
「仕掛けてみるか」
外から見て分からないのなら。ちょっかいを出すしかないかと俺は考えた。
なぜ、政治や戦争に諜報活動が重要なのか、思い知らされる気分だ。
「陛下、何をお悩みで。ようやく、誰を妃にするか決めたの?」
蝙蝠の羽を翻して、城壁の上で考え事をしていた俺の元へ吸血鬼の姫が元気に舞い降りてきた。
「いや、敵の詳しい戦力を知りたくてね」
「ああ、門にたむろしてる奴らのこと? そうね、確かに鬱陶しいわね。いっそ、突っ込んでみる。そうすれば、敵の出方とか分かるんじゃない」
「やはり、威力偵察が、いるか」
姫と考え方が一致したので、俺は思わずつぶやいた。
「威力偵察って、なに?」
姫様は、そういう単語があることも知らずに提案したようだ。
「ちょっと敵を刺激して、敵の出方から相手の戦力を調べる方法さ、まさに姫様が言った通りのことだよ。いい案だ」
やるだけの価値はあるだろうと思う。
「いっそ、一気に潰さない?」
魔界の考え方では、姑息な戦略よりも、一気に決着というのが正しいのかもしれない。姫様も、どっちでもいい感じだった。
「いや、勇者たちの動向も気になる。あまり無駄な血は流したくない」
人間を殺し過ぎて、禍根を残せば、将来、再び、人間どもが再び大軍で押し寄せてくるかもしれない。その時は、勇者のような存在が、たくさん増えているかもしれない。
「とにかく、ジッとしていても、埒が明かないだろうから、門に行くよ」
魔王城に留まっていても、人間が自分たちの世界に帰る様子は見えない。
門に戦力を集中させて、必要最低限の兵力だけを残して、大部分はもう撤退しているかもしれない。
それを知るためにも、門に近付き、威力偵察は必要だろう。
そう俺は魔王として決断した。
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