28 / 63
魔王軍設立
しおりを挟む
魔界の情勢を調べると俺が新魔王になったことなど、思ったよりも噂になっておらず。新魔王が期待されてないということを思い知らされた。勇者を蹴散らした俺の活躍にスカッとはしたが、吸血鬼のような名の知れた不死者がいるのに、急に異世界から現れた触手生物を信頼しろというのは無理があるのだろう。
それよりも、人間どもに荒らされた田畑や、略奪などの魔界の悲惨な被害が克明になっていった。狼になれる人狼は強いので、略奪や盗みをしている人間を見かけたらついでに懲らしめてもらっていた。黒騎士のデュラハンには新魔王軍の将軍として、魔王城奪回軍に加わっていた人狼、トロールやラミア、ハーピーなどを中心とした軍の整備を頼んでいた。人間どもとの決戦が遠くないと判断してのことだ。で、警察機構のような治安維持に割ける人材も欲しかった。
「人手が足りないか」
伯爵の盟友である人狼の王のおかげで人狼族の数千頭近くが、俺に協力してくれているが、魔界全域となると数が足りない。あちこちの種族に直接出向いて協力を頼みに行くしかないか。
王女の話では本来の魔王の即位には,魔界の種族の大半が使者を立て、お祝いや忠誠を誓うという。だが、急な即位だったし、人間どもに踏み荒らされて、それどこではないところもあるのだろう。だったら、こちらから各種族に会いに行くしかない。俺自身、この世界に召喚された余所者という事実も肝に銘じておく必要があるだろう。
「王女様、俺に、すぐに味方してくれそうな種族はいるかな?」
俺の触手の粘液を愛おしそうに舐めながら、王女は助言した
「れろ、ん、そうですね、森の奥に住むコボルトの王は我が父と旧知の間柄で、よく魔王城にも遊びに来てらして、さらにオークやゴブリン、オーガとも交流があるので、我が父を討った人間どもを倒したいのでと協力を申し出れば手を貸してくださると思います」
「なるほど、コボルトか。数が多くて味方にすると頼もしそうだな」
そこにオークやゴブリン、オーガも加わってくれれば、鬼に金棒というか魔界の鬼軍団ができそうだ。
「あとは南方の海の半魚人やセイレーンや人魚たちが味方になってくださるかと」
「海の魔族か、君の父が討たれた前の戦いで、彼らは動かなかったのかい」
「少数精鋭の勇者たちの進軍は速く、こちらが軍を整える前に魔王城は落ちました。で、魔王が討たれた後の、混乱に乗じて人間どもの大軍が押し寄せて、この有様です」
「でも、人間どもに、父の仇、夫の仇と復讐心を燃やさせる程度の激戦が、かつては合ったんだろ。魔王がやられただけで、そんなに急に魔界は弱くなったのか?」
「伯爵様のように、圧倒的力を持つ個人が多くて、それをまとめていたのが父でした。が、父が倒れたので、みなバラバラに」
「いくら強い魔族がいても、バラバラでは、人間のいいようにされるしかなかったというわけか」
「その通りです。ですが、魔界は実力主義、強い者には素直に従います」
「だから、実力ある伯爵が動いたら、すぐに人狼や一つ目の巨人など、強者が馳せ参じたわけか」
「逆に私は非力だったで、勇者に追われても救いの手を誰も差し伸べてくれませんでした」
魔界の実力主義の下、人間を即座に叩きだしたい脳筋勢力は伯爵の元に集結した。
そうではない慎重な、コボルトの王や半魚人は冷静に情勢を見定めようとしているのかもしれない。ならば、なおのこと新魔王自ら赴き協力のための説得をする必要があるのではと俺は考えた。
「では、まずはコボルトの王に一緒に会いに行ってくれますか、王女様」
「はい、喜んで,陛下」
王女が新しい魔王である俺の触手に縋りつくように抱きついた。
そして、護衛の人狼四頭と、新魔王の俺と王女と吸血鬼の姫様でコボルトの王の住む森に向かった。
黒騎士のデュラハンもついてきたがったが、新魔王軍を統率する将軍である彼女には魔王城の留守を任せた。
それよりも、人間どもに荒らされた田畑や、略奪などの魔界の悲惨な被害が克明になっていった。狼になれる人狼は強いので、略奪や盗みをしている人間を見かけたらついでに懲らしめてもらっていた。黒騎士のデュラハンには新魔王軍の将軍として、魔王城奪回軍に加わっていた人狼、トロールやラミア、ハーピーなどを中心とした軍の整備を頼んでいた。人間どもとの決戦が遠くないと判断してのことだ。で、警察機構のような治安維持に割ける人材も欲しかった。
「人手が足りないか」
伯爵の盟友である人狼の王のおかげで人狼族の数千頭近くが、俺に協力してくれているが、魔界全域となると数が足りない。あちこちの種族に直接出向いて協力を頼みに行くしかないか。
王女の話では本来の魔王の即位には,魔界の種族の大半が使者を立て、お祝いや忠誠を誓うという。だが、急な即位だったし、人間どもに踏み荒らされて、それどこではないところもあるのだろう。だったら、こちらから各種族に会いに行くしかない。俺自身、この世界に召喚された余所者という事実も肝に銘じておく必要があるだろう。
「王女様、俺に、すぐに味方してくれそうな種族はいるかな?」
俺の触手の粘液を愛おしそうに舐めながら、王女は助言した
「れろ、ん、そうですね、森の奥に住むコボルトの王は我が父と旧知の間柄で、よく魔王城にも遊びに来てらして、さらにオークやゴブリン、オーガとも交流があるので、我が父を討った人間どもを倒したいのでと協力を申し出れば手を貸してくださると思います」
「なるほど、コボルトか。数が多くて味方にすると頼もしそうだな」
そこにオークやゴブリン、オーガも加わってくれれば、鬼に金棒というか魔界の鬼軍団ができそうだ。
「あとは南方の海の半魚人やセイレーンや人魚たちが味方になってくださるかと」
「海の魔族か、君の父が討たれた前の戦いで、彼らは動かなかったのかい」
「少数精鋭の勇者たちの進軍は速く、こちらが軍を整える前に魔王城は落ちました。で、魔王が討たれた後の、混乱に乗じて人間どもの大軍が押し寄せて、この有様です」
「でも、人間どもに、父の仇、夫の仇と復讐心を燃やさせる程度の激戦が、かつては合ったんだろ。魔王がやられただけで、そんなに急に魔界は弱くなったのか?」
「伯爵様のように、圧倒的力を持つ個人が多くて、それをまとめていたのが父でした。が、父が倒れたので、みなバラバラに」
「いくら強い魔族がいても、バラバラでは、人間のいいようにされるしかなかったというわけか」
「その通りです。ですが、魔界は実力主義、強い者には素直に従います」
「だから、実力ある伯爵が動いたら、すぐに人狼や一つ目の巨人など、強者が馳せ参じたわけか」
「逆に私は非力だったで、勇者に追われても救いの手を誰も差し伸べてくれませんでした」
魔界の実力主義の下、人間を即座に叩きだしたい脳筋勢力は伯爵の元に集結した。
そうではない慎重な、コボルトの王や半魚人は冷静に情勢を見定めようとしているのかもしれない。ならば、なおのこと新魔王自ら赴き協力のための説得をする必要があるのではと俺は考えた。
「では、まずはコボルトの王に一緒に会いに行ってくれますか、王女様」
「はい、喜んで,陛下」
王女が新しい魔王である俺の触手に縋りつくように抱きついた。
そして、護衛の人狼四頭と、新魔王の俺と王女と吸血鬼の姫様でコボルトの王の住む森に向かった。
黒騎士のデュラハンもついてきたがったが、新魔王軍を統率する将軍である彼女には魔王城の留守を任せた。
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。
風
恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。
飼主さんが大好きです。
グロ表現、
性的表現もあります。
行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。
基本的に苦痛系のみですが
飼主さんとペットの関係は甘々です。
マゾ目線Only。
フィクションです。
※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる