40 / 51
遠くへジャンプ!新人冒険者の薬草採取
ケトルベルスイング(2)
しおりを挟む
そして、フジカルは、ケトルベルスイングの大事なポイントを説明し始めた。
「ケトルベルスイングを実際に始める前に、まずはひとつポイントを伝える。ヒップヒンジだ!」
ヒップヒンジは、スクワットやデッドリフトなどでも大事な概念だ。ヒップは腰や尻という意味も含むが、股関節という意味もある。そして、ヒップヒンジにおけるヒップという表現は、股関節の部分を示す表現だ。ヒンジというのは、ドアの蝶番(ちょうつがい)の部分のことだ。要は、ふともとと背中を両方ともそれぞれを直線のようなイメージで捉え、股関節と中心としてドアの蝶番のように動かすことがヒップヒンジと言われている。
「まず、デッドリフトのような体勢になったうえで、背中をまっすぐ、というか脊柱の自然なカーブが維持される状態にしつつ、股関節を中心にしたドアのように動こう!これがヒップヒンジだ!」
このヒップヒンジは、本当に色々なところに活きていくテクニックであり、身体を制御するうえで鍵となる身体動作だ。デッドリフトでもヒップヒンジは大事であり、ケトルベルスイングとデッドリフトを交互に行ったり来たりしながらヒップヒンジを意識するのも面白いトレーニング方法かも知れない。
「ということで、まずは、ケトルベルを地面に置いて、スイング開始の準備の体勢をやってみようか!」
そう言ってフジカルは、パタヘネの前にケトルベルを置いた。
パタヘネは、ケトルベルに手を伸ばそうとしたが、そのとき、腰椎が屈曲してしまう。
「もうちょっと、しっかり背中を維持しようか。角度を理解しやすくするために背中に棒を当ててみよう」
そう言ってフジカルはパタヘネの背中に棒をあてがう。
背中に棒が当たった状態で、腰椎が屈曲していると、ちょうど曲がっている部分だけが棒に触れる形になるので、本人も曲がっている箇所を理解しやすくなる。棒と背中が接する感触を頼りに、パタヘネが腰椎の屈曲を改善したとき、パタヘネはふとももの裏側にあるハムストリングが引っ張られるような感覚があった。
「背中をまっすぐにすると、ふとももの裏側に凄いくるんっすけど」
パタヘネは主張する。
「そう、その背中の角度を最初から最後まで維持しながらケトルベルを揺らすのが大事だぞ!」
そう言って、フジカルがケトルベルスイングを実演する。
「そして、ケトルベルスイングだが、まずは、大きく揺らさず、ヒップヒンジを行いながら、ケトルベルが重力で下に落ちていくときに、股関節で上手く受け止めつつ、地面を押す力を感じよう!」
ケトルベルスイングを初めて行うと、上に振り上げる瞬間を強く意識しがちであるが、ケトルベルが重力で落ちていくのを制御するときにどう身体を制御するのかも大事なのだ。
そして、ケトルベルが下がっていくときに腰椎が過度に屈曲してしまうエラーが発生しがちだ。パタヘネも、そのエラーが顕著だった。
「ケトルベルが落ちてくる時に、背中が崩れているから気をつけよう」とフジカルがパタヘネに声をかける。
パタヘネは、背中を少し意識するが、うまく振れたのは数回に1回ぐらいだった。それでも、まずはやってみるのが大事だ。最初から完璧は難しい。
「難しいっすねー」とパタヘネは叫ぶ。
エリカも一緒にケトルベルスイングを行っていたが、そちらも同様のエラーが観測できた。
エリカもパタヘネ同様に、「これは難しいですね」という感想だった。
何度かスイングを行った後に、今度は、少し発展したスイングにもチャレンジすることにした。
「慣れてきたら、上に振り上げるときに身体が直立するぐらいまで一気に振り上げてみよう!」
と言いながらフジカルが実演する。
ケトルベルを大きく降り始めるとエラーが顕著になることがある。パタヘネも大きくケトルベルを振ると目立つエラーが姿を表した。
パタヘネに見られたエラーは、まさにケトルベルスイングありがちなエラーだった。ケトルベルの重さを十分制御しきれず、バランスを多少崩してしまい、足の指の爪を立てるような感じで地面をつかむようにしてしまうというものだ。
フジカルがパタヘネに声をかける。
「ケトルベルを振るときに、足の指で地面をつかむように、いわゆる"かむ"動作をしないようにしよう」
「そうならないために、かかと、足の親指の付け根と小指の付け根、その3点に均等に荷重するようにしよう!その3点で作る三角形をトライポッドと表現することがあるので覚えておこう!」
足裏全体にしっかりと体重を乗せるために、足裏の3点を意識するといった手法があるが、この手法はケトルベルだけではなく、他のウェイトトレーニングでも活用可能だ。トライポッドの考え方は汎用性が高いのだ。
その後、数度、パタヘネはケトルベルスイングを行った。
ケトルベルスイングは、やってみると短時間で息があがる。そして、振っていると足裏への圧力も感じやすい。ただ、慣れるまで少し時間がかかるトレーニングかも知れない。
「最初から全部をうまくやるのは難しいかも知れない。今日は、これぐらいにするけど、今後もケトルベルスイングを続けていこう!」
フジカルは、そのようにパタヘネに声をかけると、次のトレーニングに進むことを告げた。
「よし、じゃあ、次は、がっつりとウェイトを扱うのにチャレンジしよう!」
「ケトルベルスイングを実際に始める前に、まずはひとつポイントを伝える。ヒップヒンジだ!」
ヒップヒンジは、スクワットやデッドリフトなどでも大事な概念だ。ヒップは腰や尻という意味も含むが、股関節という意味もある。そして、ヒップヒンジにおけるヒップという表現は、股関節の部分を示す表現だ。ヒンジというのは、ドアの蝶番(ちょうつがい)の部分のことだ。要は、ふともとと背中を両方ともそれぞれを直線のようなイメージで捉え、股関節と中心としてドアの蝶番のように動かすことがヒップヒンジと言われている。
「まず、デッドリフトのような体勢になったうえで、背中をまっすぐ、というか脊柱の自然なカーブが維持される状態にしつつ、股関節を中心にしたドアのように動こう!これがヒップヒンジだ!」
このヒップヒンジは、本当に色々なところに活きていくテクニックであり、身体を制御するうえで鍵となる身体動作だ。デッドリフトでもヒップヒンジは大事であり、ケトルベルスイングとデッドリフトを交互に行ったり来たりしながらヒップヒンジを意識するのも面白いトレーニング方法かも知れない。
「ということで、まずは、ケトルベルを地面に置いて、スイング開始の準備の体勢をやってみようか!」
そう言ってフジカルは、パタヘネの前にケトルベルを置いた。
パタヘネは、ケトルベルに手を伸ばそうとしたが、そのとき、腰椎が屈曲してしまう。
「もうちょっと、しっかり背中を維持しようか。角度を理解しやすくするために背中に棒を当ててみよう」
そう言ってフジカルはパタヘネの背中に棒をあてがう。
背中に棒が当たった状態で、腰椎が屈曲していると、ちょうど曲がっている部分だけが棒に触れる形になるので、本人も曲がっている箇所を理解しやすくなる。棒と背中が接する感触を頼りに、パタヘネが腰椎の屈曲を改善したとき、パタヘネはふとももの裏側にあるハムストリングが引っ張られるような感覚があった。
「背中をまっすぐにすると、ふとももの裏側に凄いくるんっすけど」
パタヘネは主張する。
「そう、その背中の角度を最初から最後まで維持しながらケトルベルを揺らすのが大事だぞ!」
そう言って、フジカルがケトルベルスイングを実演する。
「そして、ケトルベルスイングだが、まずは、大きく揺らさず、ヒップヒンジを行いながら、ケトルベルが重力で下に落ちていくときに、股関節で上手く受け止めつつ、地面を押す力を感じよう!」
ケトルベルスイングを初めて行うと、上に振り上げる瞬間を強く意識しがちであるが、ケトルベルが重力で落ちていくのを制御するときにどう身体を制御するのかも大事なのだ。
そして、ケトルベルが下がっていくときに腰椎が過度に屈曲してしまうエラーが発生しがちだ。パタヘネも、そのエラーが顕著だった。
「ケトルベルが落ちてくる時に、背中が崩れているから気をつけよう」とフジカルがパタヘネに声をかける。
パタヘネは、背中を少し意識するが、うまく振れたのは数回に1回ぐらいだった。それでも、まずはやってみるのが大事だ。最初から完璧は難しい。
「難しいっすねー」とパタヘネは叫ぶ。
エリカも一緒にケトルベルスイングを行っていたが、そちらも同様のエラーが観測できた。
エリカもパタヘネ同様に、「これは難しいですね」という感想だった。
何度かスイングを行った後に、今度は、少し発展したスイングにもチャレンジすることにした。
「慣れてきたら、上に振り上げるときに身体が直立するぐらいまで一気に振り上げてみよう!」
と言いながらフジカルが実演する。
ケトルベルを大きく降り始めるとエラーが顕著になることがある。パタヘネも大きくケトルベルを振ると目立つエラーが姿を表した。
パタヘネに見られたエラーは、まさにケトルベルスイングありがちなエラーだった。ケトルベルの重さを十分制御しきれず、バランスを多少崩してしまい、足の指の爪を立てるような感じで地面をつかむようにしてしまうというものだ。
フジカルがパタヘネに声をかける。
「ケトルベルを振るときに、足の指で地面をつかむように、いわゆる"かむ"動作をしないようにしよう」
「そうならないために、かかと、足の親指の付け根と小指の付け根、その3点に均等に荷重するようにしよう!その3点で作る三角形をトライポッドと表現することがあるので覚えておこう!」
足裏全体にしっかりと体重を乗せるために、足裏の3点を意識するといった手法があるが、この手法はケトルベルだけではなく、他のウェイトトレーニングでも活用可能だ。トライポッドの考え方は汎用性が高いのだ。
その後、数度、パタヘネはケトルベルスイングを行った。
ケトルベルスイングは、やってみると短時間で息があがる。そして、振っていると足裏への圧力も感じやすい。ただ、慣れるまで少し時間がかかるトレーニングかも知れない。
「最初から全部をうまくやるのは難しいかも知れない。今日は、これぐらいにするけど、今後もケトルベルスイングを続けていこう!」
フジカルは、そのようにパタヘネに声をかけると、次のトレーニングに進むことを告げた。
「よし、じゃあ、次は、がっつりとウェイトを扱うのにチャレンジしよう!」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
いや、自由に生きろって言われても。
SHO
ファンタジー
☆★☆この作品はアルファポリス様より書籍化されます☆★☆
書籍化にあたってのタイトル、著者名の変更はありません。
異世界召喚に巻き込まれた青年と召喚された張本人の少女。彼等の通った後に残るのは悪人の骸…だけではないかも知れない。巻き込まれた異世界召喚先では自由に生きるつもりだった主人公。だが捨て犬捨て猫を無視出来ない優しさが災い?してホントは関わりたくない厄介事に自ら巻き込まれに行く。敵には一切容赦せず、売られたケンカは全部買う。大事な仲間は必ず守る。無自覚鈍感最強ヤローの冒険譚を見よ!
◎本作のスピンオフ的作品『職業:冒険者。能力:サイキック。前世:日本人。』を並行連載中です。気になった方はこちらも是非!*2017.2.26完結済です。
拙作をお読み頂いた方、お気に入り登録して頂いた皆様、有難う御座います!
2017/3/26本編完結致しました。
2017/6/13より新展開!不定期更新にて連載再開!
2017/12/8第三部完結しました。
この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件
なかの
ファンタジー
異世界に転生した僕。
そこで与えられたのは、この世界ただ一人だけが持つ、ユニークスキル『スキル合成 - シンセサイズ』だった。
このユニークスキルを武器にこの世界を無双していく。
【web累計100万PV突破!】
著/イラスト なかの

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる