19 / 51
速く走りたい!足が遅い魔法使い
バーベルでデッドリフト(1)
しおりを挟む
「さて、実際に走る姿を見てから、ノルハムでテストをして、ハムストリングに課題がありそうだということがわかったので、次は走りを改善するためのハムストリング強化に取り組みに入ろうか!」
「ただ、今回はノルハムを実行できるだけの筋力がない状態がスタートだから、まずはノルハムを実行できるだけの能力を獲得することから目指そう」
今回はテストとして利用したが、ノルディックハムストリングはハムストリング強化のエキササイズとして使われることが多い。それを実行できないときに、できるようになるまで挑戦し続けるという方法もないわけではないが、効率的とは言い難い。そういったときに、相手にとって適切なレベル感となる難易度のエキササイズを提案できるかどうかも、職人としての腕の見せ所であるとフジカルは考えている。
「目指す何かができないときに、当初行おうとしていたことよりも難易度が低い、もしくは強度が低い方法を模索することも凄く大事なことだ!」
難易度を上げることに関しては多くの人々がチャレンジしがちであるが、難易度を下げることを嫌う人は多い。その結果、本来であれば達成すべき品質で、そのエキササイズを実行できず、そのエキササイズの効果を得るための品質に達しないこともある。そうなってしまうと、エキササイズによる効果が大幅に減少してしまったり、逆に間違ったエキササイズの実行方法が害になってしまうことすら考えられる。
「少しレベル感を下げて適切にすることを、リグレッション、デグレーション、レトログレっションなど表現は人によって色々だけど、実際には実現が困難なところまで難しくし過ぎないことは、忘れがちなので気をつけよう」
自分自身の現在地点を正しく把握し、自分に合ったレベル感のエクササイズを選択できるような難易度調整を勇気を持って行えるかどうかも、ときとして大事なのだ。
「いまはノルハムができないから、他の種目で強化していくんだけど、まずは王道的なところでデッドリフトから行こうか!」
そう言うと、フジカルは何もないところから、バーベルのバーとウェイトのプレートを取り出した。
おそらくアイテムボックスからだろう。
「これは何ですか?」
不思議そうにエマが聞く。
「これは、バーベルというトレーニング器具だ!」
「バーとプレートに分かれていて、重さを調節できるので、トレーニングを行う各個人に合わせた最適な重さ調整ができる素晴らしいトレーニングアイテムだ!」
バーベルを使ったトレーニングの良いところのひとつに、重さを調節できるという点があげられる。最初は軽い重さでフォームを整えることに注力し、無理に重たいウェイトに最初から挑戦しなくても良いのだ。そして、少しずつ挙げられるウェイトが重くなっていくことで、自分の成長を実感することもできる。
「バーベルを使って色々なトレーニングができるが、今日やるのは、まずはデッドリフトだ」
「デッドリフトは、バーベルを使った基本的な種目のひとつだ!」
スクワット、デッドリフト、ベンチプレスは、筋トレのbig3と呼ばれることがある代表的な種目だ。効果的なトレーニングであるからこそ、基本とされており、トレーニングを行ううえで重要な種目であると言って差し支えないとフジカルは考えている。
「バーベルを使った下半身強化として、背中にバーベルを担いでしゃがむバックスクワットも有名だが、ハムストリングを強化したいのであれば、デッドリフトの方がお勧めだ!」
「1999年の論文[Wright1999]では、バックスクワットだとハムストリングの活動は、デッドリフトの半分だけだと紹介しているぞ!」
スクワットもデッドリフトも、両方とも素晴らしい種目だ。ただ、今回に関しては、ハムストリングに着目したいので、あえて選ぶとしたらデッドリフトであろう。ただ、そのうち、スクワットにも慣れてもらおうと密かに考えるフジカルだった。
「今回は、速く走るためにハムストを強化したいので、デッドリフトに挑戦だ!」
フジカルが拳を突き上げて"やるぞ!"というポーズを取ると、無表情ながらエマも同じように拳を突き上げてノって来た。
エマは、これから取り組もうとする種目がどんなものであるのか、そこまで強い興味はなさそうだが、速く走りたいという目的は明確なのでノリは悪くない。
======
参考文献
======
[Wright1999]
Wright, G. A., DELONG, T. H., & GEHLSEN, G. (1999). Electromyographic activity of the hamstrings during performance of the leg curl, stiff-leg deadlift, and back squat movements. The Journal of Strength & Conditioning Research, 13(2), 168-174.
(著者注)本文中では、Stiff leg deadliftとbacksquatを比較した[Wright1999]の論文を紹介していますが、本文中で行っているエキササイズはstiff leg deadliftではなくdeadlift(or conventional deadlift)です。
ただ、2013年の論文[Bezerra2013]では、stiff leg deadliftとdeadliftの間でハムストリングの筋活動に差はないとしています。
2013年の論文において、その2つのエキササイズで筋活動に差が出るのは、内側腓腹筋(medial gastrocnemius)と外側広筋(vastus lateralis)であるとされています。
このため、本文中では、バックスクワットとデッドリフトを比較して、デッドリフトの方がハムストリングへの刺激が強いと表現しています。
「ただ、今回はノルハムを実行できるだけの筋力がない状態がスタートだから、まずはノルハムを実行できるだけの能力を獲得することから目指そう」
今回はテストとして利用したが、ノルディックハムストリングはハムストリング強化のエキササイズとして使われることが多い。それを実行できないときに、できるようになるまで挑戦し続けるという方法もないわけではないが、効率的とは言い難い。そういったときに、相手にとって適切なレベル感となる難易度のエキササイズを提案できるかどうかも、職人としての腕の見せ所であるとフジカルは考えている。
「目指す何かができないときに、当初行おうとしていたことよりも難易度が低い、もしくは強度が低い方法を模索することも凄く大事なことだ!」
難易度を上げることに関しては多くの人々がチャレンジしがちであるが、難易度を下げることを嫌う人は多い。その結果、本来であれば達成すべき品質で、そのエキササイズを実行できず、そのエキササイズの効果を得るための品質に達しないこともある。そうなってしまうと、エキササイズによる効果が大幅に減少してしまったり、逆に間違ったエキササイズの実行方法が害になってしまうことすら考えられる。
「少しレベル感を下げて適切にすることを、リグレッション、デグレーション、レトログレっションなど表現は人によって色々だけど、実際には実現が困難なところまで難しくし過ぎないことは、忘れがちなので気をつけよう」
自分自身の現在地点を正しく把握し、自分に合ったレベル感のエクササイズを選択できるような難易度調整を勇気を持って行えるかどうかも、ときとして大事なのだ。
「いまはノルハムができないから、他の種目で強化していくんだけど、まずは王道的なところでデッドリフトから行こうか!」
そう言うと、フジカルは何もないところから、バーベルのバーとウェイトのプレートを取り出した。
おそらくアイテムボックスからだろう。
「これは何ですか?」
不思議そうにエマが聞く。
「これは、バーベルというトレーニング器具だ!」
「バーとプレートに分かれていて、重さを調節できるので、トレーニングを行う各個人に合わせた最適な重さ調整ができる素晴らしいトレーニングアイテムだ!」
バーベルを使ったトレーニングの良いところのひとつに、重さを調節できるという点があげられる。最初は軽い重さでフォームを整えることに注力し、無理に重たいウェイトに最初から挑戦しなくても良いのだ。そして、少しずつ挙げられるウェイトが重くなっていくことで、自分の成長を実感することもできる。
「バーベルを使って色々なトレーニングができるが、今日やるのは、まずはデッドリフトだ」
「デッドリフトは、バーベルを使った基本的な種目のひとつだ!」
スクワット、デッドリフト、ベンチプレスは、筋トレのbig3と呼ばれることがある代表的な種目だ。効果的なトレーニングであるからこそ、基本とされており、トレーニングを行ううえで重要な種目であると言って差し支えないとフジカルは考えている。
「バーベルを使った下半身強化として、背中にバーベルを担いでしゃがむバックスクワットも有名だが、ハムストリングを強化したいのであれば、デッドリフトの方がお勧めだ!」
「1999年の論文[Wright1999]では、バックスクワットだとハムストリングの活動は、デッドリフトの半分だけだと紹介しているぞ!」
スクワットもデッドリフトも、両方とも素晴らしい種目だ。ただ、今回に関しては、ハムストリングに着目したいので、あえて選ぶとしたらデッドリフトであろう。ただ、そのうち、スクワットにも慣れてもらおうと密かに考えるフジカルだった。
「今回は、速く走るためにハムストを強化したいので、デッドリフトに挑戦だ!」
フジカルが拳を突き上げて"やるぞ!"というポーズを取ると、無表情ながらエマも同じように拳を突き上げてノって来た。
エマは、これから取り組もうとする種目がどんなものであるのか、そこまで強い興味はなさそうだが、速く走りたいという目的は明確なのでノリは悪くない。
======
参考文献
======
[Wright1999]
Wright, G. A., DELONG, T. H., & GEHLSEN, G. (1999). Electromyographic activity of the hamstrings during performance of the leg curl, stiff-leg deadlift, and back squat movements. The Journal of Strength & Conditioning Research, 13(2), 168-174.
(著者注)本文中では、Stiff leg deadliftとbacksquatを比較した[Wright1999]の論文を紹介していますが、本文中で行っているエキササイズはstiff leg deadliftではなくdeadlift(or conventional deadlift)です。
ただ、2013年の論文[Bezerra2013]では、stiff leg deadliftとdeadliftの間でハムストリングの筋活動に差はないとしています。
2013年の論文において、その2つのエキササイズで筋活動に差が出るのは、内側腓腹筋(medial gastrocnemius)と外側広筋(vastus lateralis)であるとされています。
このため、本文中では、バックスクワットとデッドリフトを比較して、デッドリフトの方がハムストリングへの刺激が強いと表現しています。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる